物価の高騰が、ついに部活動の世界にも波及しているらしい。
ボールひとつ、ユニフォームひとつにまでインフレの影が忍び寄っている。遠征費も上がり、今や「部活に行く=財布が痩せる」時代である。
数字(消費者物価指数)で見ると、2020年に比べて最大約24%の物価上昇。つまり、5年前に1万円だったものが、今や12,400円。仮に3か月ごとに買い替えると、年間で約1万円の追加出費。もはやスパイクも“高級靴”の仲間入りである。
自分が学生の頃、サッカー部でスパイクを履きつぶしていた日々を思い出す。グラウンドを駆け回り、スパイクの底がツルツルになるころには、靴の中まで砂が入り込んでいた。靴ひもはほどけ、皮は剥がれ、見た目はほぼ「戦場帰り」。そうなると親にお願いして新しいスパイクを買ってもらっていた。昔の自分は、親の財布事情など全然考えずに買ってくれと頼んでいた。本当に感謝である。
それ以上に、現代の親たちはもっと大変だ。ボールが値上がり、遠征の交通費はガソリン代とともに上昇中。バスの手配にもお金がかかる。昔なら「青春の汗」として掛け値なしに投資できたかもしれないが、今ではそこに「家計の涙」も混じりつつある。
しかし、だからといって子どもたちに経験を諦めさせるわけにはいかない。部活というのは、単なるスポーツの場ではない。友情が生まれ、悔しさを知り、勝利の美酒ならぬ“スポーツドリンク”を分け合う場所である。
今後は、工夫して支える仕組みが必要だろう。中古道具のリユース、地域での寄付、オンラインでの共同購入など、知恵を出せばまだ道はある。結局、物価が上がろうが、青春の価値は変わらない。スパイクの値段は上がってほしくないが、夢を追う明るい気持ちはどんどん上がり続けてほしい。
参考情報
2025/10/14 日本経済新聞:部活動で家計の負担重く グローブや靴が高騰、遠征費も 体験格差の拡大に懸念
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