採用候補者をAIで探すサービスなるものが登場しているらしい。
令和の人材ハンティングは、ついに「AIが人材を捕まえてくる時代」になったというわけだ。
しかし、どうやってAIを使うのかが気になるところである。AIと言われると、つい「魔法の箱が何やら勝手に賢い判断をしてくれるのだろう」と思いがちだが、そんな都合の良い魔法は存在しない。基本的には“大量のデータを与えられ、そのデータに揉まれながら賢くなる”という、学校の部活の鬼コーチのような育成プロセスを経るのがAIである。
採用候補者を探すとなると、候補者の過去のキャリアやスキル、希望勤務地、さらには職務経歴書に散りばめられた“職務要約のクセ”まで、さまざまな要素が関わってきそうである。「転職回数は?」「希望年収は?」「リモート勤務は可?」と、まるで婚活アプリばりの詳細項目がAIの前に積み上げられ、AIはそれをむしゃむしゃと食べて育つわけだ。
そして、その大量データを学習させる…とは言うものの、そもそもこれは検索機能とどう違うのだろうか?従来の検索機能は、いわば「言われたものだけ取ってくる真面目な郵便局員」である。“Python”と検索すればPython経験者を淡々と出す(Pythonという文字が含まれたら出力される)。しかしAIの場合は、単なる郵便局員ではなく「やたら気が利くコンシェルジュ」になる。“Pythonができそうな人”、“未経験だけどポテンシャル高そうな人”など、こちらが言っていないのに気を回して人物像を探し当ててくれる。つまり、検索は“指示通りの検索”、AIは“意図を汲んで推測して探す”という違いがあるわけだ。
では、この学習は機械学習なのか、はたまたディープラーニングなのか。これも気になる点である。機械学習は例えるなら「優秀なそろばん使い」で、統計的に最適解を導くタイプ。一方、ディープラーニングは「柔軟性のある受付係」である。大量のデータを浴びるほど与えることで、その柔軟性は高まっていく(間違える可能性もあるけど…)。、たぶんこの受付型…つまりディープラーニング寄りではないかと推測する。なぜなら、人材データというのはスキル、性格、経歴、希望条件など複雑に絡んでおり、単純なそろばんでは手に負えないからである。
そう考えると、AI採用サービスとは、「巨大な履歴書データの海に潜り、真珠のような人材を見つけてくる真珠ダイバー」であるとも言える。採用担当者がこれまで手作業で見ていた山のような履歴書を、AIが高速で解析する姿を想像すると、もはや人間業を超えている。AIは眠らないし、コーヒーブレイクも取らない。まるでブラック企業の理想形のように働き続ける。
とはいえ、AIが候補者を探す時代になったとしても、最終的に人を採るかどうかは人間が決める。AIは優秀な助手、いわば“デジタル執事”である。良き執事として人材候補を運んできてくれるが、その人と一緒に働くかどうかは、結局われわれ自身の判断力が問われるのだ。
参考情報
2025/11/24 日本経済新聞:採用候補者AIで探す ウォンテッドリー 人事の負担軽減

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