新聞記事から考える 6:AI上司と企業の未来

新聞記事から考える

 KDDIが「AI上司」なるものを開発したらしい。どうやら実在する優秀な上司の思考を学習し、その人物のように考え、発言することができるらしい。まるでドラえもんが社長室に常駐しているようなものだ。相談すればすぐ答えが返ってくるが、ポケットから出てくるのはタケコプターではなく、経営戦略や対策の立案である。

 このAI上司、すごいのは外販までしている点である。つまり、どの企業でも「うちの上司AI」をカスタマイズして導入できるという。営業部には“叱って伸ばすタイプ”、クリエイティブ部には“ほめて伸ばすタイプ”など、個性豊かな上司が生成される未来が見える。会社によっては、「AI部長が三人もいる」なんて事態も起こりそうだ。

 上司というのは忙しい生き物である。部下の話を聞こうにも、会議・資料作成・上層部への報告と予定が詰まっており、気づけば「話しかけづらいオーラ」をまとう。そんなとき、AI上司がいればいつでも、愚痴も提案も受け止めてくれる。言わば「コンビニ上司」である。昔、「24時間働けますか?」というワードが流行ったが、AI上司ならへっちゃらだろう。しかもクレームを言っても疲れない。

 もちろん、AIが上司本人の意図を完全に再現できるとは限らない。「AI部長が“やれ”と言ったからやりました!」で済むほど世の中甘くはない。しかし、意思確認の下準備や資料レビューの初稿など、時間のかかるやり取りを効率化できるのは間違いない。

 この流れが進めば、上司一人が見る部下の数は倍増するかもしれない。人間の上司が“統括AI部長”のような存在となり、細かいやり取りはAIに任せる時代になるのだろう。結果的に、管理職ポジションは減り、企業は「人間の知恵+AIの処理力」でよりスリムな組織に変わる。

 そうなると、リストラが進むかもしれない。AIに負けない力というものが必要になってくるだろう。まずはAIエージェントがどういう仕組みで成り立っているのか、などとにかく知識を身に着けることが大事になってきそうである。

 思えば、アメリカではイーロン・マスクが公務員の数を減らそうとしたことがあったが、今後は日本でも「AI係長」「AI課長」が増え、“人件費カットの救世主”として登場するかもしれない。人間上司がカフェで休んでいる間も、AI上司はチャット上で部下の相談に答え続ける。もはや“働き方改革”ではなく、“働かせ方改革”である。

参考情報
2025/10/19  日本経済新聞:KDDIが「AI上司」、実在人物を再現、外販も

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