はじめに
今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。
今回のテーマは PPM(Product Portfolio Management:プロダクトポートフォリオマネジメント) です。
企業が複数の事業を持っている場合、
- どの事業に投資するか
- どの事業から資金を得るか
- どの事業を維持するか
- どの事業を見直すか
といった判断が必要になります。
PPMは、こうした経営資源の配分を考えるための代表的なフレームワークです。
今回の問題では、その中でも特に重要な
「投資用の資金源になる事業はどれか」
という点が問われています。
問題
問67
PPMにおいて、投資用の資金源として位置付けられる事業はどれか。
選択肢
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| ア | 市場成長率が高く、相対的市場占有率が高い事業 |
| イ | 市場成長率が高く、相対的市場占有率が低い事業 |
| ウ | 市場成長率が低く、相対的市場占有率が高い事業 |
| エ | 市場成長率が低く、相対的市場占有率が低い事業 |
解答
正解
ウ
市場成長率が低く、相対的市場占有率が高い事業
解説
PPMでは、事業を次の2つの軸で整理します。
- 市場成長率
- 相対的市場占有率
この2軸によって、事業を4つに分類します。
PPMの4分類
| 分類 | 市場成長率 | 相対的市場占有率 | 基本的な考え方 |
|---|---|---|---|
| 花形(Star) | 高い | 高い | 成長を維持するため投資が必要 |
| 問題児(Question Mark) | 高い | 低い | 投資して育てるか、見直すか判断する |
| 金のなる木(Cash Cow) | 低い | 高い | キャッシュを生み、他事業への投資資金源になる |
| 負け犬(Dog) | 低い | 低い | 撤退・売却・再配置などを検討する |
今回の問題で重要なのは、
「どの事業が資金を使うのか」ではなく、「どの事業が資金を生み出すのか」
という点です。
なぜ「金のなる木」が資金源になるのか
金のなる木は、
- 市場成長率が低い
- 相対的市場占有率が高い
という特徴を持っています。
市場の成長率が低いため、急成長市場ほど大規模な追加投資を必要としにくい一方で、高い市場占有率を持っているため、PPMの考え方では高いキャッシュ創出力が期待できます。
その結果、
金のなる木で生み出した資金を、花形や問題児などの成長事業へ回す
という資金配分が可能になります。
イメージとしては、次のようになります。
金のなる木
│
│ 資金を生み出す
▼
企業の投資資金
│
├──→ 花形へ投資
│
└──→ 問題児へ投資
つまり、金のなる木は企業にとっての「資金供給役」です。
各選択肢を確認する
ア:市場成長率が高く、相対的市場占有率が高い事業
これは 花形(Star) です。
高成長市場で高い市場占有率を持っているため、有力な事業です。
ただし、成長市場では競争も激しく、シェアを維持するための投資が必要になります。
そのため、今回の「投資用の資金源」という問いには該当しません。
イ:市場成長率が高く、相対的市場占有率が低い事業
これは 問題児(Question Mark) です。
市場自体は成長していますが、自社の市場占有率は低い状態です。
今後、
- 投資して市場占有率を高めるか
- 投資を抑えて撤退するか
を判断する必要があります。
むしろ資金を必要とする側なので、資金源ではありません。
ウ:市場成長率が低く、相対的市場占有率が高い事業
これは 金のなる木(Cash Cow) です。
大きな成長投資を必要としにくい一方で、高い市場占有率によってキャッシュを生み出すことが期待されます。
したがって、
他の事業への投資資金源
として位置付けられます。
今回の正解です。
エ:市場成長率が低く、相対的市場占有率が低い事業
これは 負け犬(Dog) です。
成長性も低く、市場での競争力も弱いため、
- 撤退
- 売却
- 経営資源の再配置
などを検討する対象になります。
資金源として期待する事業ではありません。
問題の用語解説
PPMとは
PPMは、企業が持つ複数の事業について、経営資源をどのように配分するかを考えるためのフレームワークです。
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が提唱した考え方として知られています。
ポイントは、次の2軸です。
縦軸:市場成長率
横軸:相対的市場占有率
「市場成長率 × 相対的市場占有率」のように掛け算をするわけではありません。
あくまで、2つの軸で事業を分類するという考え方です。
市場成長率とは
市場成長率は、その市場自体がどれくらい成長しているかを示します。
市場成長率が高ければ、
- 新しい需要が増えている
- 将来の成長が期待できる
- 競争が激しくなりやすい
- 成長に対応するための投資が必要
といった特徴があります。
一方、市場成長率が低い場合は、市場が成熟しているケースが多くなります。
相対的市場占有率とは
相対的市場占有率は、競合企業と比較して自社がどれくらい強い市場ポジションを持っているかを見る指標です。
一般的な「市場占有率」と少し違い、
最大の競合企業などと比較した自社の市場シェア
を見る考え方です。
例えば、
自社シェア:40%
最大競合シェア:20%
であれば、自社は競合より高い市場占有率を持っていると考えられます。
PPMでは、この相対的な強さが重要になります。
体系的位置づけ
この問題は、応用情報技術者試験では
経営戦略 → 全社戦略 → 経営資源配分 → PPM
という位置付けで理解すると整理しやすいです。
関連する用語としては、
| 分野 | 主な用語 |
|---|---|
| 全社戦略 | PPM |
| 環境分析 | SWOT分析 |
| 成長戦略 | アンゾフの成長マトリクス |
| 競争戦略 | コストリーダーシップ、差別化、集中 |
| 企業活動の分析 | バリューチェーン |
このあたりは経営戦略分野でセットで登場しやすいので、まとめて整理しておくと効果的です。
今回の問題の重要ポイント
今回の問題では、
「どの分類が資金を生み出すのか」
を判断できることが重要です。
4分類を次のように覚えると整理しやすくなります。
| 分類 | イメージ |
|---|---|
| 花形 | 育てる・維持する |
| 問題児 | 投資するか判断する |
| 金のなる木 | 稼ぐ |
| 負け犬 | 見直す |
特に重要なのは、
金のなる木 = 資金を生み出す側
という関係です。
試験では、
- 投資すべき事業はどれか
- 資金源となる事業はどれか
- 撤退を検討する事業はどれか
と、視点を変えて問われることがあります。
そのため、単に4つの名称を暗記するのではなく、
「資金の流れ」まで理解する
ことが重要です。
まとめ
今回の問題では、PPMにおいて
投資用の資金源として位置付けられる事業
が問われました。
正解は、
ウ:市場成長率が低く、相対的市場占有率が高い事業
です。
これは、
金のなる木(Cash Cow)
に分類されます。
金のなる木は、市場が成熟しているため大きな成長投資を必要としにくく、高い市場占有率によってキャッシュを生み出すことが期待されます。
その資金を、
- 花形
- 問題児
といった成長事業へ回していくのがPPMの基本的な考え方です。

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