はじめに
今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。
今回は、IT投資案件の評価に関する問題です。
テーマは PBP(Pay Back Period:回収期間法)。
IT投資では、「最終的にどれだけ利益が出るか」だけでなく、
- 投資したお金をどれだけ早く回収できるか
- 回収までにどのくらい時間がかかるか
という視点も重要です。
この問題では、PBPの基本的な考え方を理解しているかが問われています。
問題
IT投資案件において、投資効果をPBP(Pay Back Period)で評価する。
投資額が500のとき、期待できるキャッシュインの四つのシナリオ a~d のうち、効果が最も高いものはどれか。
各シナリオのキャッシュイン
| シナリオ | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 |
|---|---|---|---|---|---|
| a | 100 | 150 | 200 | 250 | 300 |
| b | 100 | 200 | 300 | 200 | 100 |
| c | 200 | 150 | 100 | 150 | 200 |
| d | 300 | 200 | 100 | 50 | 50 |
選択肢
- ア:a
- イ:b
- ウ:c
- エ:d
解答
正解
エ(d)
解説
PBPは、投資した金額を回収するまでに必要な期間を求める方法です。
PBPによる評価では、
回収期間が短いほど、投資効果が高い
と判断します。
今回の投資額は500なので、各シナリオについて、累計キャッシュインが500に到達するまでの期間を比較します。
シナリオa
3年目までの累計は、
100 + 150 + 200 = 450
です。
あと50回収する必要があります。
4年目のキャッシュインは250なので、
50 ÷ 250 = 0.2年
したがって、
PBPは3.2年
です。
シナリオb
2年目までの累計は、
100 + 200 = 300
です。
あと200必要です。
3年目のキャッシュインは300なので、
200 ÷ 300 ≒ 0.67年
したがって、
PBPは約2.67年
です。
シナリオc
3年目までの累計は、
200 + 150 + 100 = 450
です。
あと50必要です。
4年目のキャッシュインは150なので、
50 ÷ 150 ≒ 0.33年
したがって、
PBPは約3.33年
です。
シナリオd
1年目に300、2年目に200なので、
300 + 200 = 500
となります。
つまり、
2年で投資額500を回収できます。
各シナリオのPBPを比較
| シナリオ | PBP |
|---|---|
| a | 3.2年 |
| b | 約2.67年 |
| c | 約3.33年 |
| d | 2年 |
最も短いのはdです。
したがって、
正解はエ(d)
となります。
問題の用語解説
PBP(Pay Back Period)
PBPは、日本語では回収期間と呼ばれます。
投資によって得られるキャッシュインによって、初期投資額を回収するまでに何年かかるかを評価する方法です。
考え方は非常にシンプルです。
投資したお金が、何年で戻ってくるか
を見ます。
PBPの特徴
PBPには、次のような特徴があります。
- 計算方法が比較的簡単
- 回収までの期間を直感的に把握しやすい
- 資金回収までの期間という観点からリスクを把握しやすい
一方で、弱点もあります。
- 投資額を回収した後のキャッシュフローを重視しない
- 通常はお金の時間価値を考慮しない
そのため、実際の投資判断では、
- NPV
- IRR
- ROI
など、ほかの指標と組み合わせて評価されることがあります。
PBPでは「最終的な利益」ではなく「回収の速さ」を見る
今回の問題で特に重要なのがこの点です。
5年間のキャッシュインを合計してみます。
| シナリオ | 5年間のキャッシュイン合計 |
|---|---|
| a | 1,000 |
| b | 900 |
| c | 800 |
| d | 700 |
実は、5年間の合計が最も大きいのはaです。
それでも、PBPで最も高く評価されるのはdです。
なぜなら、
PBPは「最終的にいくら入ってくるか」ではなく、「投資した500をどれだけ早く回収できるか」を見る指標だからです。
ここを間違えると、aを選びたくなります。
試験では非常に重要なポイントです。
投資評価指標の違い
応用情報技術者試験では、PBP以外の投資評価指標も登場します。
| 指標 | 主に見るもの |
|---|---|
| PBP | 投資額を回収するまでの期間 |
| ROI | 投資に対してどれだけ利益が得られたか |
| NPV | 将来のキャッシュフローを現在価値に換算した価値 |
| IRR | NPVが0になる割引率 |
ざっくり覚えるなら、
- PBP → 何年で回収?
- ROI → どれだけ儲かった?
- NPV → 今の価値にするといくら?
- IRR → 利回りはどれくらい?
という整理がおすすめです。
体系的位置づけ
今回のテーマは、応用情報技術者試験では主にストラテジ系のIT投資評価に関係します。
全体像
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| 経営戦略 | 経営目標や事業戦略を考える |
| システム戦略 | ITを経営や業務にどう活用するか考える |
| IT投資評価 | IT投資の費用対効果を評価する |
| 主な指標 | PBP、ROI、NPV、IRRなど |
企業が新しいシステムを導入するときには、
「便利になりそうだから導入しよう」
では済みません。
当然ながら、
「その投資、本当に回収できるの?」
という話になります。
そこで使われる考え方の一つがPBPです。
今回の問題の重要ポイント
ポイント① PBPは回収期間を見る
PBPでは、
投資額をどれだけ早く回収できるか
を比較します。
総利益の大小ではありません。
ポイント② キャッシュインは累計する
1年間だけの金額を見るのではなく、
1年目から順番に累計する
ことが重要です。
今回のdなら、
- 1年目:300
- 2年目:300 + 200 = 500
となり、2年で回収できます。
ポイント③ 「500を超える」必要はない
投資額が500なら、
累計キャッシュインが500に到達すれば回収完了
です。
dは2年目終了時点でちょうど500なので、2年で回収したことになります。
ポイント④ 年の途中で回収する場合もある
a、b、cのように、年度途中で投資額を回収するケースでは、
残りの回収額 ÷ その年のキャッシュイン
で、その年に必要な割合を求められます。
例えばaなら、
3年目終了時点で450なので残り50。
4年目のキャッシュイン250のうち50が必要なので、
50 ÷ 250 = 0.2年
となります。
そのため、PBPは3.2年です。
まとめ
今回は、PBP(Pay Back Period)を使ったIT投資評価について確認しました。
PBPは、
投資した資金を回収するまでの期間
を評価する方法です。
今回のPBPは、
| シナリオ | PBP |
|---|---|
| a | 3.2年 |
| b | 約2.67年 |
| c | 約3.33年 |
| d | 2年 |
となります。
最も短いのはdなので、
正解はエ(d)です。
今回の問題で最も大切なのは、
PBPは「最終的にどれだけ儲かるか」ではなく、「投資額をどれだけ早く回収できるか」を見る
という点です。
5年間のキャッシュイン合計だけを見るとaが最大ですが、PBPではdが最も高く評価されます。
この違いを理解しておけば、似た問題にも対応しやすくなります。

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