はじめに
今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。
今回は「エンタープライズアーキテクチャ(EA)」に関する問題です。
特にポイントになるのが、BRM(Business Reference Model) が何を表しているのかという点です。
EAでは、組織全体の業務やシステムを整理し、個別最適ではなく全体最適を目指します。
そのため、
- 業務
- サービス
- データ
- 技術
をそれぞれの観点から整理して考えることが重要になります。
今回は、BRMだけでなく、SRM・DRM・TRMとの違いも合わせて整理していきます。
問題
エンタープライズアーキテクチャの参照モデルのうち、BRM(Business Reference Model)として提供されるものはどれか。
選択肢
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| ア | アプリケーションサービスを機能的な観点から分類・体系化したサービスコンポーネント |
| イ | サービスコンポーネントを実際に活用するためのプラットフォームやテクノロジの標準仕様 |
| ウ | 参照モデルの中で最も業務に近い階層として提供される、業務分類に従った業務体系及びシステム体系と各種業務モデル |
| エ | 組織間で共有される可能性の高い情報について、名称、定義及び各種属性を総体的に記述したモデル |
解答
正解
ウ
解説
BRMは、組織が行っている業務を整理し、
- どのような業務があるのか
- どの業務が共通化できるのか
- どの業務にどのシステムが関係しているのか
といったことを把握するために使われます。
簡単にいえば、
「この組織は、何の業務をしているのか」
を整理するモデルです。
そのため、選択肢の中で
業務分類に従った業務体系及びシステム体系と各種業務モデル
と説明されているウがBRMに該当します。
各選択肢の解説
ア:SRM
アプリケーションサービスを機能的な観点から分類・体系化したサービスコンポーネント
これはSRM(Service Reference Model)です。
SRMでは、業務を実現するために必要となるサービスや機能を分類・体系化します。
例えば、
- 認証機能
- 検索機能
- 通知機能
- 決済機能
といった機能を整理するイメージです。
イ:TRM
サービスコンポーネントを実際に活用するためのプラットフォームやテクノロジの標準仕様
これはTRM(Technical Reference Model)です。
TRMでは、サービスやシステムを実現するための技術基盤や標準を整理します。
例えば、
- OS
- データベース
- ネットワーク
- ミドルウェア
- 各種技術標準
などが対象になります。
ウ:BRM
業務分類に従った業務体系及びシステム体系と各種業務モデル
これがBRM(Business Reference Model)です。
BRMでは、組織の業務を分類・体系化します。
今回の正解です。
エ:DRM
組織間で共有される可能性の高い情報について、名称、定義及び各種属性を総体的に記述したモデル
これはDRM(Data Reference Model)です。
DRMでは、組織で扱う情報について、
- 名称
- 定義
- 属性
- データの関係
などを整理します。
単に「データの一覧」を作るというよりも、情報の意味を共通化するためのモデルと考えると理解しやすいです。
EA参照モデルの整理
EAの参照モデルは、次のように整理すると分かりやすいです。
| 参照モデル | 正式名称 | 着目するもの |
|---|---|---|
| BRM | Business Reference Model | 業務 |
| SRM | Service Reference Model | サービス・機能 |
| DRM | Data Reference Model | データ・情報 |
| TRM | Technical Reference Model | 技術・標準 |
重要なのは、これらを単純な上下関係として覚えるのではなく、それぞれ異なる観点から組織全体を整理するモデルとして理解することです。
問題の用語解説
エンタープライズアーキテクチャ(EA)とは
エンタープライズアーキテクチャは、組織全体の業務とシステムを統一的な方法で整理・モデル化し、業務とシステムを全体最適の観点から改善していくための設計・管理手法です。
例えば、企業内に部署ごとに別々のシステムが存在しているとします。
営業部
└ 営業管理システム
経理部
└ 会計システム
人事部
└ 人事管理システム
物流部
└ 在庫管理システム
それぞれが個別に最適化されているだけでは、
- 同じデータを何度も入力している
- システム同士が連携していない
- 同じような機能を何個も作っている
といった問題が起こります。
EAでは、こうした状態を組織全体の視点から整理します。
つまり、
「部署単位ではなく、会社全体で考えよう」
という発想です。
BRM(Business Reference Model)とは
BRMは、業務を分類・体系化する参照モデルです。
覚え方は非常にシンプルです。
Business
↓
業務
↓
BRM
例えば、
- 顧客管理
- 受発注
- 在庫管理
- 品質管理
- 人事管理
- 会計処理
といった業務を整理します。
ただし、これらはあくまで理解するための例であり、正式なBRMの分類項目そのものという意味ではありません。
SRM(Service Reference Model)とは
SRMは、サービスや機能を分類・体系化するモデルです。
簡単にいえば、
「業務を支えるために、どんな機能が必要か」
を見るモデルです。
例えば、
受発注業務
↓
注文受付機能
↓
在庫確認機能
↓
決済機能
↓
通知機能
といった形で、必要な機能を整理します。
DRM(Data Reference Model)とは
DRMは、組織で利用するデータや情報について整理するモデルです。
例えば、
顧客情報
├ 顧客ID
├ 氏名
├ 住所
└ 電話番号
といったように、
- データの名称
- データの意味
- 属性
- 他のデータとの関係
などを整理します。
TRM(Technical Reference Model)とは
TRMは、システムやサービスを実現するために利用する技術や標準を整理するモデルです。
例えば、
システム
├ OS
├ データベース
├ ネットワーク
├ ミドルウェア
└ セキュリティ技術
といった技術基盤を整理します。
4つの参照モデルを一気に覚える方法
次のように考えると覚えやすいです。
| モデル | 考える質問 |
|---|---|
| BRM | 何の業務をするのか? |
| SRM | どんな機能が必要か? |
| DRM | どんな情報を扱うのか? |
| TRM | どんな技術を使うのか? |
この4つをセットで覚えておくと、選択肢問題でも判断しやすくなります。
体系的位置づけ
今回の問題は、応用情報技術者試験の中では、主に次の分野に位置づけられます。
ストラテジ系
↓
システム戦略
↓
情報システム戦略
↓
エンタープライズアーキテクチャ
EAは、情報システムを単体で考えるのではなく、経営や業務との関係を含めて全体最適を考える分野です。
そのため、単純な技術問題というよりも、
「企業全体をどう設計するか」
という視点が重要になります。
今回の問題の重要ポイント
ポイント1:BRMは「業務」
まずはこれを覚えましょう。
B = Business
↓
業務
BRMという言葉が出てきたら、まず業務を連想します。
ポイント2:問題文のキーワードを見る
今回の選択肢では、
「業務分類」
「業務体系」
「業務モデル」
という言葉が出ています。
これらはすべてBRMを判断する大きなヒントです。
ポイント3:残りの3つもセットで覚える
BRMだけ覚えても、別の選択肢で迷ってしまいます。
そこで、
BRM → 業務
SRM → サービス
DRM → データ
TRM → 技術
の4つをセットで覚えておくのがおすすめです。
ポイント4:BRM・SRM・DRM・TRMを順番として覚えない
注意したいのが、
BRM
↓
SRM
↓
DRM
↓
TRM
という単純な処理順ではないことです。
それぞれは、組織やシステムを異なる観点から整理するための参照モデルです。
試験対策では、
「何を整理するモデルなのか」
という対応関係を押さえることが重要です。
まとめ
今回の問題では、エンタープライズアーキテクチャにおけるBRMについて問われました。
正解は、
ウ
です。
BRMは、
組織の業務を分類・体系化する参照モデル
です。
試験対策としては、次の表を覚えておくとかなり解きやすくなります。
| 略称 | 覚える言葉 |
|---|---|
| BRM | 業務 |
| SRM | サービス・機能 |
| DRM | データ・情報 |
| TRM | 技術・標準 |
特に、
Business=業務
という対応を最初に押さえておけば、BRMはかなり覚えやすいです。
EAは名前だけを見ると難しそうですが、整理してみると、
業務、機能、情報、技術をそれぞれ分けて考えている
という比較的シンプルな考え方です。
4つの参照モデルをセットで整理しておきましょう。


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