応用情報技術者試験過去問を解いてみた R6年度 春期 問56

応用情報技術者試験

はじめに

今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。

今回のテーマは、サービスマネジメントにおけるサービスレベル管理です。

ITサービスでは、単に「サービスを提供する」だけでは不十分です。

  • どのサービスを提供するのか
  • どの程度の品質を目標にするのか
  • 障害時にどれくらいで復旧するのか
  • 顧客とどのような内容で合意するのか

といった点を明確にしておく必要があります。

今回の問題では、サービスマネジメントにおける各管理活動の役割を正しく区別できるかが問われています。


問題

問56 サービスマネジメントにおけるサービスレベル管理の活動はどれか。

選択肢

選択肢内容
現在の資源の調整と最適化を行い,将来の資源要件に関する予測を記載した計画を作成する。
サービスの提供に必要な予算に応じて,適切な資金を確保する。
災害や障害などで事業が中断しても,要求されたサービス機能を合意された期間内に確実に復旧できるように,事業影響度の評価や復旧優先順位を明確にする。
提供するサービス及びサービスレベル目標を決定し,サービス提供者が顧客との間で合意文書を交わす。

解答

正解:


解説

サービスレベル管理とは、顧客とサービス提供者の間で、

「どのようなサービスを、どの程度の水準で提供するのか」

を合意し、その達成状況を管理していく活動です。

代表的なものが、

SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意)

です。

たとえば、次のような内容を定めます。

  • システム稼働率
  • 応答時間
  • 問い合わせ対応時間
  • 障害からの復旧時間

つまり、サービスレベル管理では、

サービス内容を決める
        ↓
サービスレベル目標を決める
        ↓
顧客と合意する
        ↓
サービスを監視する
        ↓
実績を評価・改善する

という流れで管理していきます。

したがって、

提供するサービス及びサービスレベル目標を決定し,サービス提供者が顧客との間で合意文書を交わす。

と説明しているが正解です。


各選択肢を解説

ア:資源・性能・容量に関する管理

現在の資源の調整と最適化を行い,将来の資源要件に関する予測を記載した計画を作成する。

これは、サービスレベル管理ではありません。

内容としては、従来のITILでいうキャパシティ管理に相当する考え方です。

CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークなどの資源について、

  • 現在足りているか
  • 将来どれくらい必要になるか
  • 性能不足が発生しないか

を考えます。

覚え方は、

「資源・性能・容量」→ キャパシティ関係

です。


イ:予算及び会計に関する管理

サービスの提供に必要な予算に応じて,適切な資金を確保する。

これは、サービス提供に必要な予算や資金を管理する活動です。

サービスレベル管理ではありません。

試験対策では、

「お金・予算」

というキーワードが出たら、サービスレベル管理ではないと判断しやすくなります。


ウ:サービス継続・復旧に関する管理

災害や障害などで事業が中断しても,要求されたサービス機能を合意された期間内に確実に復旧できるように,事業影響度の評価や復旧優先順位を明確にする。

これは、災害や重大障害が発生した場合でも、サービスを継続・復旧できるようにする活動です。

重要なキーワードは、

  • 災害
  • 事業中断
  • 復旧
  • 事業影響度
  • 復旧優先順位

です。

サービスレベル管理とは異なり、

「問題が起きたときにどう復旧するか」

を考えています。


エ:サービスレベル管理

提供するサービス及びサービスレベル目標を決定し,サービス提供者が顧客との間で合意文書を交わす。

これが正解です。

ポイントは、

「顧客との合意」

です。

サービスレベル管理では、サービス内容やサービスレベル目標について顧客と合意します。

その代表的な合意がSLAです。


問題の用語解説

SLAとは

SLAは、

Service Level Agreement

の略です。

日本語では、

サービスレベル合意

などと呼ばれます。

サービス提供者と顧客の間で、

どの程度のサービス水準を提供するかを合意したもの

です。

たとえば、次のような内容があります。

項目SLAの例
稼働率月間99.9%以上
障害対応30分以内に対応開始
復旧時間4時間以内
問い合わせ24時間以内に回答

SLAは単なる「目標」ではなく、

サービス提供者と顧客との合意

である点が重要です。


BCPとは

BCPは、

Business Continuity Plan

の略です。

日本語では、

事業継続計画

と呼ばれます。

災害や事故などが発生しても、重要な事業を継続したり、許容される時間内に復旧したりするための計画です。


DRとは

DRは、

Disaster Recovery

の略です。

日本語では、

災害復旧

と呼ばれます。

災害などによって被害を受けたITシステムやデータを復旧するための対策や計画です。

BCPとDRは似ていますが、イメージとしては次のように整理できます。

BCP
└─ 事業全体をどう継続するか

DR
└─ ITシステムをどう復旧するか

BCPの方が広い概念です。


サービスマネジメントの管理活動を整理

今回の問題では、似たような管理活動が選択肢に並んでいます。

そこで、「何を管理しているのか」で整理すると分かりやすくなります。

問題文のキーワード管理内容
SLA・顧客との合意・サービスレベルサービスレベル管理
資源・性能・容量・将来予測キャパシティに関する管理
予算・資金・コスト予算及び会計
災害・復旧・事業影響度サービス継続・可用性に関する管理

図で覚える

                        サービスマネジメント

         │
┌───────────────┼───────────────┐
│         │         │
SLA・顧客         資源・容量       予算・資金
│         │         │
サービスレベル管理        キャパシティ関係       予算・会計

         │
       災害・障害・復旧
         │
        サービス継続・可用性

試験では、このようにキーワードと管理活動を結び付けて覚えると判断しやすくなります。


体系的位置づけ

今回の問題は、応用情報技術者試験の

マネジメント系

に分類されます。

大まかな位置づけは次のとおりです。

応用情報技術者試験
        ↓
マネジメント系
        ↓
サービスマネジメント
        ↓
サービスマネジメント
        ↓
サービスレベル管理

ここで注意したいのは、

サービスマネジメントはテクノロジ系ではなく、マネジメント系

であることです。

また、「サービスサポート」「サービスデリバリ」という分類は古いITILで使われた体系です。

現在の試験対策では、無理に古いITIL分類に当てはめるよりも、

サービスマネジメントの各管理活動が何を目的としているか

を理解する方が重要です。


今回の問題の重要ポイント

この問題で最も重要なのは、

「何を管理しているのか」を見抜くこと

です。

次の4つをセットで覚えておくと判断しやすくなります。

キーワード覚え方
SLA顧客との約束
資源・容量将来足りるか
予算お金は足りるか
災害・復旧止まったらどう戻すか

特に、

顧客との合意 → サービスレベル管理

は頻出ポイントです。


まとめ

今回の正解は、

です。

サービスレベル管理では、

提供するサービスとサービスレベル目標について顧客と合意し、その達成状況を管理・改善していきます。

試験では、似たような管理活動が並べられることがありますが、

  • 顧客との約束 → サービスレベル管理
  • 資源 → キャパシティ関係
  • お金 → 予算及び会計
  • 災害・復旧 → サービス継続・可用性

と整理すると解きやすくなります。

「サービスレベル管理=SLA」とまず覚え、そこから周辺の管理活動との違いを整理していきましょう。


参考情報

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