『ジョジョの奇妙な冒険』には、「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」という有名なセリフがある。

画像引用元:ジョジョの奇妙な冒険 3
一コマだけ見ても、なぜ急にパンの話をするのか分からないかもしれない。食パン好きの告白ではない。前後のやり取りを知ると、この問い返しの怖さと巧みさが見えてくる。
というわけで、このセリフを、物語をあまり知らない人にもわかるように解説してみようと思う。
誰が、誰に言った言葉なのか
舞台は第1部。主人公ジョナサン・ジョースター(ジョジョ)たちは、敵であるディオと対峙する。パンのセリフを言ったのは、そのディオだ。
ディオは吸血鬼となり、人の生命を吸い取って自分の傷を癒やす。以前ジョナサンとの戦いで大きな傷を負っていたが、再び姿を現したときには、すでに傷がかなり癒えていた。
それを見たジョナサンの味方、ツェペリが問い詰める。傷を癒やすために、いったい何人の命を吸い取ったのか、と。
そこでディオが返したのが、あのパンのセリフである。
なぜ「パンの枚数」と問い返したのか
普通、これまで食べたパンを一枚ずつ数えている人はいない。ディオはその当たり前を使って、「奪った命の数など覚えていない」と伝えている。
しかも、ただ「覚えていない」と言うのではない。相手にも答えが分かる質問を投げ、その意味に自分で気づかせる。人数を聞かれて、数字を出さずに答えているわけだ。なんとも嫌な頭のよさである。
そして、例えが残酷だ。ツェペリにとっては一人ひとりの大切な「命」なのに、ディオはそれを毎日の「パン」と同じように扱う。犠牲者を数える価値すら感じていないことが伝わってくる。
この一コマが印象に残る理由
この返しには、「数など覚えていない」という答えと、「人間は自分が消費するものだ」という価値観が同時に入っている。
だから、事情を知らずに聞けば妙な質問なのに、場面を知ると、怖さを感じる。ツェペリが問うた命の重さを、ディオはパンの軽さで返した。その落差こそが、このセリフを忘れがたくしているのだ。
最後に
今回は、ジョジョの奇妙な冒険の余りにも有名なセリフ「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」を解説してみた。
改めて考えると、このセリフはすごい。答えを言わずに相手に悟らせ、同時に命の扱い方まで見せる。それを端的なセリフに落とし込んでいるのだから。
興味があれば、原作を読んでみることをおすすめする。
あわせて読みたい


コメント