応用情報技術者試験過去問を解いてみた R6年度 春期 問66

応用情報技術者試験

はじめに

今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。

今回のテーマは、コンティンジェンシープラン(Contingency Plan)です。

組込み機器のハードウェア製造を外部に委託する場合、部品不足や供給停止、委託先のトラブルなど、さまざまなリスクが考えられます。

そこで重要になるのが、

「もし問題が起きたら、どうするのかを事前に決めておく」

という考え方です。

今回の問題では、リスクを「発生させないための対策」と、「発生した場合に備える計画」の違いを理解できているかがポイントになります。


問題

問66

組込み機器のハードウェアの製造を外部に委託する場合のコンティンジェンシープランの記述として、適切なものはどれか。

選択肢

選択肢内容
ア実績のある外注先の利用によって、リスクの発生確率を低減する。
イ製造品質が担保されていることを確認できるように委託先と契約する。
ウ複数の会社の見積りを比較検討して、委託先を選定する。
エ部品調達のリスクが顕在化したときに備えて、対処するための計画を策定する。

解答

解答:エ


解説

コンティンジェンシープランとは、

リスクが実際に顕在化した場合に、どのように対応するかをあらかじめ決めておく計画

のことです。

重要なのは、

「問題が起きてから計画する」のではない

という点です。

計画そのものは、リスクが発生する前に作ります。

そして実際に問題が発生したら、事前に決めておいた対応を実行します。

リスクを認識する
      ↓
コンティンジェンシープランを事前に策定
      ↓
リスクが顕在化
      ↓
事前に決めていた対応を実行
      ↓
影響を抑える

例えば、特定の部品が調達できなくなる可能性があるのであれば、

  • 代替部品をあらかじめ選定しておく
  • 別の仕入先を確保しておく
  • 在庫の優先配分方法を決めておく
  • 生産計画の変更方法を決めておく

といった対応を準備しておくことが考えられます。

これがコンティンジェンシープランの考え方です。


各選択肢を確認する

ア:実績のある外注先の利用によって、リスクの発生確率を低減する。

これはリスク低減策です。

実績のある会社を利用することで、

「トラブルが発生する可能性そのものを下げよう」

としています。

コンティンジェンシープランは、リスクが顕在化した場合の対応を事前に決めるものなので、この選択肢とは考え方が異なります。

したがって、アは不正解です。


イ:製造品質が担保されていることを確認できるように委託先と契約する。

これは、委託先との契約によって品質を確保するための事前対策です。

例えば、

  • 品質基準
  • 検査方法
  • 不具合発生時の責任
  • 報告方法

などを契約で明確にすることが考えられます。

リスクが顕在化した場合の対応計画そのものではありません。

したがって、イは不正解です。


ウ:複数の会社の見積りを比較検討して、委託先を選定する。

これは調達先を選定するための活動です。

価格や条件などを比較して、適切な委託先を決めています。

緊急時にどのように対応するかを決めるものではないため、コンティンジェンシープランには該当しません。

したがって、ウは不正解です。


エ:部品調達のリスクが顕在化したときに備えて、対処するための計画を策定する。

これは、

「リスクが実際に起きた場合にどうするか」

を事前に決めています。

まさにコンティンジェンシープランです。

したがって、エが正解です。


問題の用語解説

コンティンジェンシープラン(Contingency Plan)

Contingencyには、

「不測の事態」「偶発事態」「万一の場合」

といった意味があります。

そのため、コンティンジェンシープランは、

「万一の事態に備えた対応計画」

と考えると理解しやすいです。

試験では、

リスクが顕在化した場合の対応を事前に決めておく

という点を覚えておきましょう。


リスク低減との違い

今回の問題では、特に「リスク低減」と「コンティンジェンシープラン」の違いが重要です。

考え方目的例
リスク低減リスクの発生確率や影響を小さくする実績のある外注先を利用する
コンティンジェンシープランリスクが顕在化した場合に備える部品が入手できなくなった場合の代替調達方法を決める

一言で整理すると、

リスク低減
=「なるべく起こらないようにする」

コンティンジェンシープラン
=「起きたらどうするかを決めておく」

となります。

ここを区別できれば、今回の問題はかなり解きやすくなります。


BCPとの違い

コンティンジェンシープランと似た言葉として、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)があります。

両者は関連していますが、目的や対象範囲が少し異なります。

用語主な目的
コンティンジェンシープラン特定のリスクが顕在化した場合の対応を決める
BCP災害や事故などが発生しても重要な事業を継続・早期復旧する

例えば、

部品Aが入荷できなくなった場合、代替部品Bへ切り替える

という具体的な対応計画は、コンティンジェンシープランとして考えられます。

一方、

大規模災害によって工場が停止しても、重要製品の供給を継続する

といった、より事業全体の継続を考えるのがBCPです。

「BCPの中に必ずコンティンジェンシープランが含まれる」と単純に覚えるより、

どちらも緊急事態への備えだが、目的や対象範囲が異なる

と理解しておくとよいでしょう。


体系的位置づけ

この問題は、応用情報技術者試験ではストラテジ系に分類されます。

体系的には、おおむね次のように位置付けることができます。

ストラテジ系
   │
   └─ システム戦略
        │
        └─ システム企画
             │
             └─ 調達計画・実施
                  │
                  └─ 外部委託・調達リスクへの対応
                       │
                       └─ コンティンジェンシープラン

コンティンジェンシープランという言葉だけを見ると、プロジェクトマネジメントのリスク管理にも関係しそうですが、今回の過去問の試験上の位置づけはストラテジ系です。

特に、

  • 外部委託
  • 委託先選定
  • 契約
  • 調達
  • 部品供給リスク

といった言葉が並んでいるため、「調達」に関する問題であることも押さえておきましょう。


今回の問題の重要ポイント

今回の問題で覚えておきたいのは、次の考え方です。

リスクが発生する前

実績のある会社を選ぶ
↓
リスクを低減する

リスクが発生した場合に備える

「もし部品が届かなかったら?」
↓
代替調達などの対応を事前に決める
↓
コンティンジェンシープラン

特に重要なのは、

「発生前か、発生後か」ではなく、「何を目的として事前に準備しているのか」を見る

ことです。

コンティンジェンシープランも作るのは発生前です。

ただし、そこで決めている内容は、

「リスクが顕在化した場合の対応」

です。

ここは非常に間違えやすいので注意しましょう。


まとめ

今回の問題の正解は、エです。

コンティンジェンシープランとは、

リスクが顕在化した場合にどのように対処するのかを、あらかじめ決めておく計画

です。

覚え方としては、

「もし○○が起きたら、どうする?」

と考えると分かりやすいでしょう。

今回の選択肢を整理すると、

選択肢内容
アリスク低減
イ契約による品質確保
ウ委託先の選定
エコンティンジェンシープラン

となります。

「問題を起こりにくくする対策」と「問題が起きたときの対応計画」を区別できれば、同じタイプの問題にも対応できるようになります。


参考情報

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