応用情報技術者試験過去問を解いてみた R6年度 春期 問72

応用情報技術者試験

はじめに

今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。

今回のテーマは、IoTの技術として注目されている「エッジコンピューティング」です。

IoTでは、センサーや機器から大量のデータが発生します。
そこで重要になるのが、

「そのデータをどこで処理するのか」

という考え方です。

すべてのデータを遠隔のクラウドへ送って処理する方法もありますが、用途によっては通信による遅延や通信量が問題になります。

そこで登場するのが、データが発生する場所の近くで処理を行うエッジコンピューティングです。

今回の問題では、エッジコンピューティングだけでなく、

  • ウェアラブルコンピューティング
  • クラスタコンピューティング
  • エネルギーハーベスティング

との違いも整理していきます。


問題

IoTの技術として注目されている、エッジコンピューティングの説明として、最も適切なものはどれか。

選択肢

選択肢内容
ア演算処理のリソースをセンサー端末の近傍に置くことによって、アプリケーション処理の低遅延化や通信トラフィックの最適化を行う。
イ人体に装着して脈拍センサーなどで人体の状態を計測して解析を行う。
ウネットワークを介して複数コンピュータを結ぶことによって、全体として処理能力が高いコンピュータシステムを作る。
エ周りの環境から微小なエネルギーを収穫して、電力に変換する。

解答

正解:ア


解説

エッジコンピューティングの「エッジ(Edge)」には、「端」「縁」といった意味があります。

コンピュータネットワークでは、クラウドのような中央側ではなく、利用者やIoT機器に近いネットワークの端側をイメージすると分かりやすいです。

例えば、クラウド中心で処理する場合は、次のような流れになります。

【クラウド中心の処理】

センサー
   │
   │ データ送信
   ↓
インターネット
   ↓
クラウド
   ↓
処理・分析

一方、エッジコンピューティングでは次のようになります。

【エッジコンピューティング】

センサー
   ↓
エッジ
   ├─ その場で処理・判断
   │
   └─ 必要なデータだけ送信
              ↓
           クラウド

重要なのは、必ずすべてのデータをクラウドまで送ってから処理する必要がないという点です。

データ発生源の近くで処理することによって、

  • 通信による遅延を小さくする
  • クラウドへ送信するデータ量を減らす
  • ネットワークの負荷を抑える
  • リアルタイムに近い処理を行う

といったメリットが期待できます。

そのため、選択肢アが正解です。


他の選択肢が違う理由

ア:エッジコンピューティング

正解です。

センサー端末の近くに演算処理のリソースを配置することで、低遅延化や通信トラフィックの削減・最適化を行います。

試験問題では、

「端末の近くで処理する」

という表現が出てきたら、エッジコンピューティングを疑うとよいでしょう。


イ:ウェアラブルコンピューティング

これはウェアラブルコンピューティングに関する説明です。

ウェアラブルとは「身に着けられる」という意味です。

代表例としては、

  • スマートウォッチ
  • スマートグラス
  • 活動量計
  • 心拍センサー

などがあります。

例えばスマートウォッチを腕に装着し、

心拍数
  ↓
センサーで測定
  ↓
データを記録・分析

といった使い方をします。

「身体に装着する」という部分がポイントです。


ウ:クラスタコンピューティング

これはクラスタコンピューティングの説明です。

複数のコンピュータをネットワークで接続し、一つのシステムのように連携させて処理します。

イメージとしては、

コンピュータA ─┐
コンピュータB ─┼→ 全体として処理
コンピュータC ─┘

という形です。

エッジコンピューティングの

「どこで処理するか」

という話とは異なり、クラスタコンピューティングは、

「複数のコンピュータをどのように連携させるか」

という考え方です。


エ:エネルギーハーベスティング

これはエネルギーハーベスティングの説明です。

ハーベスト(Harvest)は「収穫する」という意味です。

つまり、

周囲に存在するわずかなエネルギーを集めて、電気エネルギーへ変換する技術

です。

例えば、

  • 太陽光
  • 熱
  • 振動
  • 電波

などを利用します。

光・熱・振動など
       ↓
エネルギーを回収
       ↓
電気に変換
       ↓
IoTセンサーなどへ供給

IoT機器では電池交換が難しい場所にセンサーを設置することもあります。

そのため、エネルギーハーベスティングを利用して、外部から電力を得たり、電池交換の頻度を減らしたりすることが期待されています。


問題の用語解説

今回登場した4つの技術を整理してみます。

用語意味覚えるポイント代表例
エッジコンピューティングデータ発生源の近くで処理する近くで処理工場IoT、自動運転支援など
ウェアラブルコンピューティング身体に装着できるコンピュータや機器を利用する身に着けるスマートウォッチ
クラスタコンピューティング複数のコンピュータを連携させて処理する複数台をまとめるサーバクラスタ
エネルギーハーベスティング周囲のエネルギーを電力に変換するエネルギーを収穫太陽光・振動発電

この問題では、4つともITやIoTに関連する技術ですが、何を目的とした技術なのかが全く違います。


エッジコンピューティングとクラウドの違い

エッジコンピューティングを理解するときは、クラウドコンピューティングとの比較が分かりやすいです。

比較項目エッジクラウド
処理場所データ発生源の近く遠隔のデータセンターなど
遅延小さくしやすい通信経路の影響を受ける
大量データの集約△◎
高度な分析△~○◎
リアルタイム処理得意用途によっては遅延が問題になる
IoTとの相性非常に良い非常に良い

ここで大事なのは、

「エッジとクラウドはどちらか一方を使うものではない」

ということです。

例えば、

センサー
   ↓
エッジ
   ↓
異常をすぐ判定
   ↓
必要なデータだけクラウドへ
   ↓
長期的な分析

というように、役割を分けて利用できます。

エッジとクラウドはライバルというより、むしろ役割分担する関係と考えると理解しやすいでしょう。


エッジコンピューティングがIoTで重要な理由

IoTでは、多数のセンサーや機器から継続的にデータが発生します。

例えば工場で、

  • 温度
  • 振動
  • 圧力
  • モーター回転数

などを常時取得するとします。

すべての生データをクラウドへ送信すると、大量の通信が必要になります。

そこでエッジ側で、

センサーデータ取得
       ↓
正常?
   ↙       ↘
 YES       NO
  ↓         ↓
集約       即時通知
  ↓
必要な情報だけクラウドへ

という処理を行えば、不要な通信を減らしながら、異常時にはすぐに対応できます。

これがIoTとエッジコンピューティングの相性が良い理由の一つです。


体系的位置づけ

今回の問題は、応用情報技術者試験におけるIoTやネットワーク、分散処理に関連するテーマとして整理できます。

周辺知識としては、次のようにつなげて理解すると効果的です。

IoT
 │
 ├─ センサー
 │
 ├─ ネットワーク
 │
 ├─ エッジコンピューティング
 │
 └─ クラウドコンピューティング

特に、

センサー → エッジ → ネットワーク → クラウド

というデータの流れをイメージできるようにしておくと、関連問題にも対応しやすくなります。


今回の問題の重要ポイント

今回、最も覚えておきたいのは次の一文です。

エッジコンピューティング=データが発生する場所の近くで処理する技術

さらに、なぜ近くで処理するのかまで理解しておきましょう。

なぜエッジで処理するのか

主な理由は、

  • 遅延を小さくしたい
  • 通信量を減らしたい
  • その場ですぐ判断したい

からです。

例えば工場設備の異常検知など、短時間で判断する必要があるシステムでは、通信や処理の遅延が制御性能に影響する場合があります。

そのため、

「近くで処理」
     ↓
「低遅延」
     ↓
「リアルタイム性向上」

というつながりで覚えておくとよいでしょう。


まとめ

今回の問題のポイントを整理します。

ポイント内容
正解ア
エッジコンピューティングデータ発生源の近くで処理する
主なメリット低遅延、通信量削減、リアルタイム処理
イウェアラブルコンピューティング
ウクラスタコンピューティング
エエネルギーハーベスティング

試験対策としては、

「エッジ=端末の近く」

とまず覚えてしまうのがおすすめです。

ただし、それだけでなく、

なぜ近くで処理する必要があるのか?

まで理解しておくことが重要です。

IoTでは大量のデータが発生するため、すべてをクラウドへ送るのではなく、エッジ側で必要な処理を行うことで、通信量を抑えたり、素早く判断したりできます。

エッジはクラウドの代わりではなく、クラウドと役割分担するもの。

ここまで理解できれば、似た問題が出ても判断しやすくなるでしょう。


参考情報

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