応用情報技術者試験過去問を解いてみた R6年度 春期 問64

応用情報技術者試験

はじめに

今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。

今回は、IT投資案件の評価に関する問題です。

テーマは PBP(Pay Back Period:回収期間法)

IT投資では、「最終的にどれだけ利益が出るか」だけでなく、

  • 投資したお金をどれだけ早く回収できるか
  • 回収までにどのくらい時間がかかるか

という視点も重要です。

この問題では、PBPの基本的な考え方を理解しているかが問われています。


問題

IT投資案件において、投資効果をPBP(Pay Back Period)で評価する。

投資額が500のとき、期待できるキャッシュインの四つのシナリオ a~d のうち、効果が最も高いものはどれか。

各シナリオのキャッシュイン

シナリオ1年目2年目3年目4年目5年目
a100150200250300
b100200300200100
c200150100150200
d3002001005050

選択肢

  • ア:a
  • イ:b
  • ウ:c
  • エ:d

解答

正解

エ(d)


解説

PBPは、投資した金額を回収するまでに必要な期間を求める方法です。

PBPによる評価では、

回収期間が短いほど、投資効果が高い

と判断します。

今回の投資額は500なので、各シナリオについて、累計キャッシュインが500に到達するまでの期間を比較します。

シナリオa

3年目までの累計は、

100 + 150 + 200 = 450

です。

あと50回収する必要があります。

4年目のキャッシュインは250なので、

50 ÷ 250 = 0.2年

したがって、

PBPは3.2年

です。

シナリオb

2年目までの累計は、

100 + 200 = 300

です。

あと200必要です。

3年目のキャッシュインは300なので、

200 ÷ 300 ≒ 0.67年

したがって、

PBPは約2.67年

です。

シナリオc

3年目までの累計は、

200 + 150 + 100 = 450

です。

あと50必要です。

4年目のキャッシュインは150なので、

50 ÷ 150 ≒ 0.33年

したがって、

PBPは約3.33年

です。

シナリオd

1年目に300、2年目に200なので、

300 + 200 = 500

となります。

つまり、

2年で投資額500を回収できます。


各シナリオのPBPを比較

シナリオPBP
a3.2年
b約2.67年
c約3.33年
d2年

最も短いのはdです。

したがって、

正解はエ(d)

となります。


問題の用語解説

PBP(Pay Back Period)

PBPは、日本語では回収期間と呼ばれます。

投資によって得られるキャッシュインによって、初期投資額を回収するまでに何年かかるかを評価する方法です。

考え方は非常にシンプルです。

投資したお金が、何年で戻ってくるか

を見ます。

PBPの特徴

PBPには、次のような特徴があります。

  • 計算方法が比較的簡単
  • 回収までの期間を直感的に把握しやすい
  • 資金回収までの期間という観点からリスクを把握しやすい

一方で、弱点もあります。

  • 投資額を回収した後のキャッシュフローを重視しない
  • 通常はお金の時間価値を考慮しない

そのため、実際の投資判断では、

  • NPV
  • IRR
  • ROI

など、ほかの指標と組み合わせて評価されることがあります。


PBPでは「最終的な利益」ではなく「回収の速さ」を見る

今回の問題で特に重要なのがこの点です。

5年間のキャッシュインを合計してみます。

シナリオ5年間のキャッシュイン合計
a1,000
b900
c800
d700

実は、5年間の合計が最も大きいのはaです。

それでも、PBPで最も高く評価されるのはdです。

なぜなら、

PBPは「最終的にいくら入ってくるか」ではなく、「投資した500をどれだけ早く回収できるか」を見る指標だからです。

ここを間違えると、aを選びたくなります。

試験では非常に重要なポイントです。


投資評価指標の違い

応用情報技術者試験では、PBP以外の投資評価指標も登場します。

指標主に見るもの
PBP投資額を回収するまでの期間
ROI投資に対してどれだけ利益が得られたか
NPV将来のキャッシュフローを現在価値に換算した価値
IRRNPVが0になる割引率

ざっくり覚えるなら、

  • PBP → 何年で回収?
  • ROI → どれだけ儲かった?
  • NPV → 今の価値にするといくら?
  • IRR → 利回りはどれくらい?

という整理がおすすめです。


体系的位置づけ

今回のテーマは、応用情報技術者試験では主にストラテジ系のIT投資評価に関係します。

全体像

分野内容
経営戦略経営目標や事業戦略を考える
システム戦略ITを経営や業務にどう活用するか考える
IT投資評価IT投資の費用対効果を評価する
主な指標PBP、ROI、NPV、IRRなど

企業が新しいシステムを導入するときには、

「便利になりそうだから導入しよう」

では済みません。

当然ながら、

「その投資、本当に回収できるの?」

という話になります。

そこで使われる考え方の一つがPBPです。


今回の問題の重要ポイント

ポイント① PBPは回収期間を見る

PBPでは、

投資額をどれだけ早く回収できるか

を比較します。

総利益の大小ではありません。


ポイント② キャッシュインは累計する

1年間だけの金額を見るのではなく、

1年目から順番に累計する

ことが重要です。

今回のdなら、

  • 1年目:300
  • 2年目:300 + 200 = 500

となり、2年で回収できます。


ポイント③ 「500を超える」必要はない

投資額が500なら、

累計キャッシュインが500に到達すれば回収完了

です。

dは2年目終了時点でちょうど500なので、2年で回収したことになります。


ポイント④ 年の途中で回収する場合もある

a、b、cのように、年度途中で投資額を回収するケースでは、

残りの回収額 ÷ その年のキャッシュイン

で、その年に必要な割合を求められます。

例えばaなら、

3年目終了時点で450なので残り50。

4年目のキャッシュイン250のうち50が必要なので、

50 ÷ 250 = 0.2年

となります。

そのため、PBPは3.2年です。


まとめ

今回は、PBP(Pay Back Period)を使ったIT投資評価について確認しました。

PBPは、

投資した資金を回収するまでの期間

を評価する方法です。

今回のPBPは、

シナリオPBP
a3.2年
b約2.67年
c約3.33年
d2年

となります。

最も短いのはdなので、

正解はエ(d)です。

今回の問題で最も大切なのは、

PBPは「最終的にどれだけ儲かるか」ではなく、「投資額をどれだけ早く回収できるか」を見る

という点です。

5年間のキャッシュイン合計だけを見るとaが最大ですが、PBPではdが最も高く評価されます。

この違いを理解しておけば、似た問題にも対応しやすくなります。


参考情報

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