はじめに
今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。
今回のテーマは 「デジタルガバナンス・コード2.0」 です。
応用情報技術者試験では、DXやデジタル社会に関する用語も試験範囲に含まれています。
この分野では、単に用語を暗記するだけではなく、
- どの省庁が作ったものか
- 誰を対象としているのか
- 何を目的としているのか
をセットで整理しておくことが重要です。
今回は、企業のDX推進に関係する「デジタルガバナンス・コード2.0」について確認していきます。
問題
問62
“デジタルガバナンス・コード2.0”の説明として、適切なものはどれか。
選択肢
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| ア | 企業の自主的なDX推進を促すために、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョン策定など経営者に求められる対応を、経済産業省がまとめたもの |
| イ | 教育委員会に対して、教育情報セキュリティポリシーの基本理念や情報セキュリティ対策基準の記述例を、文部科学省がまとめたもの |
| ウ | 全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指し、自治体が重点的に取組むべき事項を、総務省がまとめたもの |
| エ | デジタル社会形成のために政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策などを、デジタル庁がまとめたもの |
解答
正解:ア
解説
デジタルガバナンス・コードは、企業がDXを進める際に、
経営者がどのような方針を持ち、どのような体制を整えるべきか
を示した指針です。
デジタル技術を導入するだけでは、DXとはいえません。
企業として、
- どのような価値を生み出したいのか
- どのような経営戦略を取るのか
- どのような人材や組織が必要なのか
- どのようなITシステムを整備するのか
- どのように成果を評価するのか
まで考える必要があります。
デジタルガバナンス・コード2.0では、こうしたDX経営に必要な事項が整理されています。
試験では、
「企業経営 × DX × 経済産業省」
という組み合わせを覚えておくと判断しやすくなります。
図で整理する
デジタルガバナンス・コード2.0
│
▼
企業のDX推進
│
▼
経営者に求められる事項
│
┌───────────────┐
│ 経営ビジョン │
│ DX戦略 │
│ 組織・人材 │
│ ITシステム │
│ 成果指標 │
│ ガバナンス │
└───────────────┘
│
▼
経済産業省
ポイントは、単なる「IT導入のルール」ではないことです。
DXを経営としてどう進めるか
という視点が中心になります。
各選択肢を確認する
| 選択肢 | 判定 | 解説 |
|---|---|---|
| ア | ○ | デジタルガバナンス・コード2.0の説明。企業のDX推進について経営者に求められる事項を経済産業省がまとめたもの |
| イ | × | 文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に関する説明 |
| ウ | × | 総務省による自治体DXの推進施策などに関係する内容であり、デジタルガバナンス・コード2.0ではない |
| エ | × | デジタル庁の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に関係する説明 |
この問題は、それぞれの選択肢がそれらしいため、
「省庁」と「対象者」を対応させること
が重要です。
問題の用語解説
DXとは
DXは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略です。
デジタル技術を活用して、
- 業務
- 製品やサービス
- ビジネスモデル
- 組織
- 企業文化
などを変革し、企業の競争力向上につなげていく考え方です。
単に紙をExcelにしたり、手作業をシステム化したりするだけではありません。
例えば、
紙の申請書
↓
Web申請
だけであれば、単なるデジタル化に近いです。
一方で、
Web申請
↓
データを自動集計
↓
AIで分析
↓
業務プロセスそのものを変更
↓
新しいサービスにつなげる
となれば、DXにより近い考え方になります。
デジタルガバナンスとは
ガバナンスとは、組織を適切に方向付け、監督するための仕組みを指します。
デジタルガバナンスの場合は、
デジタル技術を企業経営に活用するための方針、意思決定、監督、責任などの仕組み
と考えると理解しやすいです。
簡単にいえば、
DXを「現場任せ」にするのではなく、経営として進めるための仕組み
です。
ガバナンスとは
Governanceは、日本語では一般に「統治」などと訳されます。
企業では、
- 誰が意思決定するのか
- 誰が責任を持つのか
- 適切に運営されているか
- 戦略と実行が一致しているか
などを管理・監督する仕組みを指します。
つまり、
ガバナンス
=組織を適切に方向付け・監督する仕組み
と考えると分かりやすいです。
デジタルガバナンス・コード2.0とは
デジタルガバナンス・コードは、経済産業省によって2020年に策定されました。
その後、DXを取り巻く環境の変化を踏まえて改訂され、2022年にデジタルガバナンス・コード2.0となりました。
特に2.0では、DXを実現するための
- デジタル人材
- 組織
- 企業文化
- ITシステム
- ガバナンス
などの重要性がより明確にされています。
なお、現在はさらに改訂され、デジタルガバナンス・コード3.0となっています。
そのため、現在学習する場合は、
2020年
デジタルガバナンス・コード
↓
2022年
デジタルガバナンス・コード2.0
↓
2024年
デジタルガバナンス・コード3.0
という流れも押さえておくとよいでしょう。
ただし、今回の問題は「2.0」について問われているため、問題文に合わせて回答します。
体系的位置づけ
応用情報技術者試験では、この内容は経営戦略分野に位置します。
より具体的には、IPAのシラバスでは、
経営戦略
↓
経営戦略マネジメント
↓
社会におけるIT利活用の動向
↓
デジタルガバナンス・コード2.0
という位置づけになります。
試験範囲マップ
| 大分類 | 分野 | 関連用語 |
|---|---|---|
| 経営戦略 | 社会におけるIT利活用の動向 | DX、デジタルガバナンス・コード、Society 5.0など |
この分野では、技術そのものよりも、
社会や企業がITをどう活用するか
という視点が重要になります。
今回の問題の重要ポイント
今回の問題で最も重要なのは、
「誰が、誰向けに作ったものなのか」
を整理することです。
次のように覚えておくと、選択肢を切り分けやすくなります。
| 省庁 | 主な対象・テーマ |
|---|---|
| 経済産業省 | 企業、産業、DX、経営 |
| 文部科学省 | 学校、教育、教育情報セキュリティ |
| 総務省 | 自治体、通信、行政DX |
| デジタル庁 | 政府全体のデジタル政策 |
もちろん、実際には各省庁の担当領域はもっと広いですが、試験対策としての整理には役立ちます。
今回であれば、
企業
+
経営者
+
DX
+
経済産業省
が出てきた時点で、
デジタルガバナンス・コード
を思い浮かべられると強いです。
まとめ
今回の問題では、デジタルガバナンス・コード2.0について問われました。
ポイントを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正解 | ア |
| 策定 | 経済産業省 |
| 主な対象 | 企業・経営者 |
| 目的 | 企業の自主的なDX推進 |
| 内容 | 経営ビジョン、DX戦略、人材、ITシステム、ガバナンスなど |
| 現在 | デジタルガバナンス・コード3.0へ改訂済み |
| 試験分野 | 経営戦略 |
| 覚え方 | 企業 × DX × 経済産業省 |
この問題では、
「デジタルガバナンス・コード」という名称そのものを暗記するだけでは不十分です。
「誰が作ったのか」「何のためのものなのか」まで理解しておけば、似た制度が選択肢に出てきても判断しやすくなります。


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