応用情報技術者試験過去問を解いてみた R6年度 春期 問51

応用情報技術者試験

はじめに

今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。

今回のテーマは EVM(Earned Value Management:アーンド・バリュー・マネジメント) です。

EVMは、プロジェクトの進み具合とコストの状況を、感覚ではなく数値で確認するための手法です。

特に応用情報技術者試験では、

  • PV
  • EV
  • AC
  • CPI
  • SPI

の関係を読み取る問題がよく出題されます。

今回の問題では、現在のコスト効率とスケジュール効率がこのまま続いた場合に、

最終的なコストと完了時期がどうなるか

を判断します。を数値で判断する重要な考え方です。

EVMは最初は少し分かりにくいですが、
「計画」「実績」「出来高」の3つを整理すると理解しやすくなります。


問題

EVMで管理しているプロジェクトがある。

図は、プロジェクトの開始から完了予定までの期間の半分が経過した時点での状況である。

コスト効率、スケジュール効率がこのまま推移すると仮定した場合の見通しのうち、適切なものはどれか。

引用元:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)応用情報技術者試験 過去問

選択肢

選択肢内容
計画に比べてコストは多くなり、プロジェクトの完了は遅くなる
計画に比べてコストは多くなり、プロジェクトの完了は早くなる
計画に比べてコストは少なくなり、プロジェクトの完了は遅くなる
計画に比べてコストは少なくなり、プロジェクトの完了は早くなる

解答

計画に比べてコストは多くなり、プロジェクトの完了は遅くなる


解説

今回の図では、現時点で次の関係になっています。

PV > AC > EV

この関係を、

  • コスト
  • スケジュール

の2つに分けて考えます。


コストの状況を確認する

コスト効率を見るために使うのが CPI(Cost Performance Index) です。

CPI=EV/AC​

今回の図では、

EV < AC

なので、

CPI < 1

となります。

CPIが1より小さい場合、

得られた成果に対して、実際にかかったコストが大きい

ということです。

つまり、コスト効率が悪い状態です。

例えば、

EV = 40万円
AC = 50万円

だった場合、

40万円分の成果を得るために50万円使っている

ことになります。

これは、予算に対して効率が悪い状態です。

今回の問題では、

「コスト効率がこのまま推移する」

という条件があります。

そのため、この状態が最後まで続けば、完成時の総コストは当初計画より多くなると判断できます。


スケジュールの状況を確認する

スケジュール効率を見るために使うのが SPI(Schedule Performance Index) です。

SPI=EV​/PV

今回の図では、

EV < PV

なので、

SPI < 1

となります。

SPIが1より小さい場合、

計画していた進捗より、実際の進捗が遅れている

ということです。

今回の問題では、

「スケジュール効率がこのまま推移する」

とされています。

したがって、現在の遅れが今後も続くと考えられるため、

プロジェクトの完了も予定より遅くなる

と判断できます。


図の読み方を整理する

今回の図では、

PV > AC > EV

となっています。

これを分解すると、

PV > EV
→ 計画より進捗が遅れている

AC > EV
→ 得られた成果に対してコストがかかりすぎている

という状態です。

したがって、

コスト:計画より多くなる
納期 :計画より遅くなる

となります。

よって、正解は です。


各選択肢を確認する

選択肢判定理由
コスト効率が悪く、スケジュールも遅れている
×スケジュールは遅れているので、早くはならない
×コスト効率が悪いため、コストが少なくなるとは考えにくい
×コスト・スケジュールの両方が今回の状況と逆

今回の問題は、PV・EV・ACの位置関係さえ正しく読めれば判断できます。


問題の用語解説

EVMとは

EVMは、

プロジェクトの進捗とコストを、予算価値を使って定量的に管理する手法

です。

EVMでは、主に次の3つの値を比較します。

指標英語意味
PVPlanned Value現時点までに完了している予定だった作業の予算価値
EVEarned Value実際に完了した作業の予算価値
ACActual Cost実際にかかったコスト

この3つを比較することで、

  • 予定より進んでいるか
  • 遅れているか
  • コストを使いすぎているか

などを判断できます。


PVとは

PVは Planned Value の略です。

日本語では「計画価値」などと呼ばれます。

重要なのは、

「いくら使う予定だったか」ではなく、「現時点までにどれだけの作業を終える予定だったかを予算額で表したもの」

という点です。

例えば、

プロジェクト総予算:100万円
プロジェクト期間:10日

5日目までに全体の50%を完了する計画

だったとします。

この場合、

PV = 100万円 × 50%
   = 50万円

となります。

つまり、

5日目までに50万円分の作業が終わっている予定

ということです。


EVとは

EVは Earned Value の略です。

日本語では「出来高」などと呼ばれます。

EVは、

実際に完了した作業を予算価値で表したもの

です。

例えば、5日目の時点で全体の40%しか終わっていなければ、

EV = 100万円 × 40%
   = 40万円

となります。


ACとは

ACは Actual Cost の略です。

ACは、

実際に発生したコスト

です。

例えば、

5日目までに実際に使った金額:50万円

なら、

AC = 50万円

です。


CPIとは

CPIは Cost Performance Index の略です。

コスト効率を表します。

CPI=EV/AC​

判断基準は次のとおりです。

CPI状況
CPI > 1コスト効率が良い
CPI = 1計画どおり
CPI < 1コスト効率が悪い

試験では特に、

CPI < 1
→ コスト面で計画より悪い

と覚えておくと便利です。


SPIとは

SPIは Schedule Performance Index の略です。

スケジュール効率を表します。

SPI=EV​/PV

判断基準は次のとおりです。

SPI状況
SPI > 1計画より進んでいる
SPI = 1計画どおり
SPI < 1計画より遅れている

今回の問題では、

EV < PV

なので、

SPI < 1

となり、進捗が遅れていることが分かります。


CVとSVも押さえておこう

今回の問題ではCPIとSPIが重要ですが、EVMでは次の2つもよく登場します。

コスト差異

CV=EV−AC

CVがマイナスなら、

コスト面で計画より悪い

と判断できます。

スケジュール差異

SV=EV−PV

SVがマイナスなら、

計画より進捗が遅れている

と判断できます。

整理すると次のようになります。

指標悪い状態
CPIEV ÷ AC1未満
SPIEV ÷ PV1未満
CVEV − ACマイナス
SVEV − PVマイナス

体系的位置づけ

この問題は、応用情報技術者試験の マネジメント系 に位置付けられます。

整理すると、次のようなイメージです。

応用情報技術者試験
   ↓
マネジメント系
   ↓
プロジェクトマネジメント
   ↓
コスト・スケジュール管理
   ↓
EVM

EVMは、プロジェクトが計画どおり進んでいるかを定量的に評価する代表的な管理手法です。


今回の問題の重要ポイント

今回の問題で特に重要なのは、

PV・EV・ACを比較したときに、何が分かるか

です。

次の2つを覚えておくと非常に解きやすくなります。

比較意味
EV < PV計画より進捗が遅れている
EV < AC得られた成果に対してコストがかかりすぎている

さらに、指数で考える場合は、

CPI < 1
→ コスト効率が悪い

SPI < 1
→ スケジュール効率が悪い

と判断します。

今回の問題では、

PV > AC > EV

なので、

EV < PV
EV < AC

の両方が成立しています。

つまり、

コスト面でもスケジュール面でも計画より悪い

ということです。


試験での覚え方

EVMでは、EVを中心に見ると分かりやすくなります。

EV と AC を比較
→ コストを見る

EV と PV を比較
→ スケジュールを見る

つまり、

EV vs AC → お金
EV vs PV → 時間

と覚えておくと便利です。

また、CPIとSPIは、

1より大きい → 良い
1と同じ    → 計画どおり
1より小さい → 悪い

という共通ルールがあります。

式を丸暗記するだけでなく、

EVが「実際にできた成果」

であることを理解すると、かなり判断しやすくなります。


まとめ

今回の問題では、

PV > AC > EV

という関係から、プロジェクトの今後を判断しました。

まず、

EV < AC

なので、

CPI < 1

となり、コスト効率が悪いことが分かります。

さらに、

EV < PV

なので、

SPI < 1

となり、計画より進捗が遅れていることが分かります。

問題文では、

「コスト効率、スケジュール効率がこのまま推移する」

と仮定しています。

そのため、

  • 最終的なコストは計画より多くなる
  • プロジェクトの完了は予定より遅くなる

と判断できます。

したがって正解は、

ア:計画に比べてコストは多くなり、プロジェクトの完了は遅くなる

です。

EVMの問題では、

EVとACを比べればコスト、EVとPVを比べればスケジュール

という考え方を押さえておくと、かなり解きやすくなります。


参考情報

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