はじめに
今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。
今回のテーマは、IPv4アドレスの種類です。
IPアドレスには、インターネットで利用されるグローバルアドレスだけでなく、
- プライベートアドレス
- マルチキャストアドレス
- ブロードキャストアドレス
- ループバックアドレス
- リンクローカルアドレス
など、さまざまな種類があります。
今回の問題では、与えられたIPアドレスが
「グローバル・プライベート・ブロードキャスト・マルチキャスト」のどれなのか
を判断します。
IPアドレスの代表的な範囲を理解しているかがポイントです。
問題
IPアドレス 208.77.188.166 は,どのアドレスに該当するか。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| ア | グローバルアドレス |
| イ | プライベートアドレス |
| ウ | ブロードキャストアドレス |
| エ | マルチキャストアドレス |
解答
ア:グローバルアドレス
解説
今回のIPアドレスは、
208.77.188.166
です。
それぞれの選択肢と照らし合わせながら確認してみましょう。
プライベートアドレスではない
IPv4のプライベートアドレスとして使用できる範囲は、次の3つです。
| 範囲 | CIDR表記 |
| 10.0.0.0 ~ 10.255.255.255 | 10.0.0.0/8 |
| 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255 | 172.16.0.0/12 |
| 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255 | 192.168.0.0/16 |
今回の
208.77.188.166
は、これらの範囲には含まれていません。
したがって、プライベートアドレスではありません。
マルチキャストアドレスではない
IPv4のマルチキャストアドレスは、
224.0.0.0 ~ 239.255.255.255
つまり、
224.0.0.0/4
の範囲です。
今回のIPアドレスは、
208.77.188.166
なので、この範囲にも含まれません。
したがって、マルチキャストアドレスでもありません。
ブロードキャストアドレスではない
ブロードキャストとは、同一ネットワーク内の複数の端末に一斉にデータを送るための仕組みです。
代表的なブロードキャストアドレスの一つが、
255.255.255.255
です。
また、各IPv4サブネットでは、一般にホスト部をすべて1にしたアドレスがブロードキャストアドレスになります。
例えば、
192.168.1.0/24
というネットワークなら、
192.168.1.255
がブロードキャストアドレスです。
図にすると、
192.168.1.0/24
ネットワーク部 ホスト部
192 . 168 . 1 . 00000000
↓
ホスト部を全て1
↓
192 . 168 . 1 . 11111111
192.168.1.255
今回の 208.77.188.166 は、問題で想定されている通常のユニキャストアドレスであり、ブロードキャストアドレスには該当しません。
したがってグローバルアドレス
ここまで確認すると、
208.77.188.166
は、
- プライベートアドレスではない
- マルチキャストアドレスではない
- ブロードキャストアドレスではない
ことが分かります。
今回の選択肢の中では、
グローバルアドレス
が正解です。
したがって、
正解は「ア」
となります。
問題の用語解説
IPアドレスとは
IPアドレスとは、IPネットワーク上で通信する機器やインタフェースを識別するために使用されるアドレスです。
IPv4アドレスは32bitで構成されています。
例えば、
192.168.1.1
というIPv4アドレスを2進数にすると、
11000000.10101000.00000001.00000001
となります。
1つの数字のまとまりが8bitなので、
8bit × 4
= 32bit
です。
32bitでは、
2^32
= 4,294,967,296
通りの組合せを表現できます。
つまり、IPv4には理論上約43億通りのアドレスがあります。
ただし、そのすべてが一般的なグローバルアドレスとして利用できるわけではなく、プライベートアドレスやマルチキャスト、ループバックなどの特殊用途にも割り当てられています。
グローバルアドレスとは
グローバルアドレスは、インターネット上で通信するために使用されるIPアドレスです。
基本的にはインターネット上で一意になるよう管理されています。
家庭でインターネットを利用する場合などは、ISP(インターネットサービスプロバイダ)などを通じてグローバルIPアドレスが割り当てられます。
図にすると、次のようなイメージです。
家庭内ネットワーク
PC スマートフォン
│ │
└──────┬───────┘
│
ルーター
│
│ グローバルIPアドレス
▼
インターネット
│
▼
Webサーバー
プライベートアドレスとは
プライベートアドレスは、家庭や企業などのプライベートネットワーク内で使用するIPv4アドレスです。
代表例として、
192.168.1.10
などがあります。
同じプライベートIPアドレスを別々の家庭で使用していても問題ありません。
例えば、
Aさんの家
PC
192.168.1.10
Bさんの家
PC
192.168.1.10
という状態も可能です。
なぜなら、それぞれ別のプライベートネットワークだからです。
プライベートアドレスは、そのままグローバルインターネット上でルーティングされることを目的としていません。
家庭などからインターネットへ接続する場合は、多くの場合、ルーターがNATやNAPTを利用して通信を中継します。
PC
192.168.1.10
│
▼
ルーター
│
NAT/NAPT
│
▼
グローバルIP
│
▼
インターネット
CIDR表記とは
プライベートアドレスの説明に、
10.0.0.0/8
や、
192.168.0.0/16
という表記が出てきました。
この「/8」や「/16」は、CIDR表記と呼ばれます。
「/」の後ろの数字は、
IPアドレス32bitのうち、先頭から何bitをネットワーク部分として扱うか
を表しています。
例えば、
192.168.0.0/16
なら、
32bit
ネットワーク部 ホスト部
←----16bit----→←----16bit----→
192 . 168 . x . x
となります。
残りの16bitを変化させることができるため、
2^16 = 65,536
個のアドレスがこの範囲に含まれます。
マルチキャストとは
マルチキャストは、
特定のグループに参加している複数の端末へデータを送信する方式
です。
イメージとしては、
┌→ PC A
送信元 ──────┼→ PC B
└→ PC C
特定グループだけに送信
となります。
IPv4では、
224.0.0.0
~
239.255.255.255
がマルチキャスト用のアドレス空間です。
ブロードキャストとは
ブロードキャストは、同一ネットワーク内の端末へ一斉にデータを送信する方式です。
┌→ PC A
送信元 ───────┼→ PC B
├→ PC C
└→ PC D
ネットワーク内全体
「特定のグループ」に送信するマルチキャストとは異なり、対象となるネットワーク内全体へ送信する点が特徴です。
IPv4アドレスには他にも種類がある
今回の選択肢には登場しませんが、IPv4には他にも特殊用途のアドレスがあります。
代表的なものを整理すると次のようになります。
| 種類 | 代表的な範囲・例 | 主な用途 |
| プライベート | 10.0.0.0/8など | 組織内・家庭内ネットワーク |
| ループバック | 127.0.0.0/8 | 自分自身との通信 |
| リンクローカル | 169.254.0.0/16 | 同一リンク内の通信 |
| マルチキャスト | 224.0.0.0/4 | グループ通信 |
| 限定ブロードキャスト | 255.255.255.255 | 同一ネットワークへの一斉送信 |
そのため、
プライベートではない
+
マルチキャストではない
=
必ずグローバル
というわけではありません。
IPv4には、ほかにも特殊用途のアドレスが存在する
ことは覚えておきましょう。
体系的位置づけ
今回の内容を学習体系として整理すると、次のように位置づけられます。
テクノロジ系
└ ネットワーク
└ TCP/IP
└ IP
└ IPv4アドレス
├ グローバルアドレス
├ プライベートアドレス
├ マルチキャストアドレス
├ ブロードキャストアドレス
└ その他の特殊用途アドレス
IPアドレスは、サブネットマスク、CIDR、ルーティング、NATなどを理解するうえでの基礎になります。
今回の問題の重要ポイント
① プライベートアドレスの3範囲を覚える
試験対策として特に重要なのが、次の3つです。
10.0.0.0/8
172.16.0.0/12
192.168.0.0/16
数字だけで覚えるなら、
10
172.16~31
192.168
と覚えておくと判定しやすくなります。
② マルチキャストは224~239
IPv4マルチキャストの範囲は、
224.0.0.0 ~ 239.255.255.255
です。
先頭の数字を見るだけでも、多くの問題ではかなり絞り込めます。
今回のIPアドレスは、
208.77.188.166
なので、208から始まっています。
したがって、マルチキャストではありません。
③ 「それ以外は全部グローバル」と覚えない
ここは注意したいポイントです。
IPv4には、
127.x.x.x
のループバックアドレスや、
169.254.x.x
のリンクローカルアドレスなど、さまざまな特殊用途アドレスがあります。
そのため、
プライベートでもマルチキャストでもなければ必ずグローバル
とは限りません。
今回の問題では、208.77.188.166が選択肢にある特殊用途のいずれにも該当せず、グローバルアドレスに該当すると判断します。
まとめ
今回の問題は、
208.77.188.166
がどの種類のIPアドレスなのかを判断する問題でした。
正解は、
ア:グローバルアドレス
です。
今回押さえておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
| ポイント | 内容 |
| IPv4 | 32bit、理論上約43億通り |
| プライベート | 10/8、172.16/12、192.168/16 |
| マルチキャスト | 224.0.0.0/4 |
| ブロードキャスト | 代表的にはホスト部が全て1 |
| その他 | ループバックなど特殊用途も存在 |
特に重要なのは、プライベートアドレスの3つの範囲です。
10.x.x.x
172.16.x.x ~ 172.31.x.x
192.168.x.x
この3つは覚えておくと、IPアドレスを判定する問題で役立ちます。
一方で、
「これらに当てはまらなければ全部グローバル」
と単純化しないことも大切です。
IPアドレスにはさまざまな特殊用途の範囲が存在するため、まず代表的な範囲を理解し、そのうえで問題の選択肢と照らし合わせて判断していきましょう。

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