目次
はじめに
今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。
今回の問題は、データセンターで利用される直流給電(DC給電)の特徴について問う問題です。
データセンターでは電力消費が非常に大きいため、
電力効率をいかに高めるかが重要なテーマになっています。
その中で注目されているのが 直流給電方式(DC Power Supply) です。
では問題を見ていきましょう。
問題
データセンターなどで採用されているサーバ,ネットワーク機器に対する直流給電の利点として,適切なものはどれか。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| ア | 交流から直流への変換,直流から交流への変換で生じる電力損失を低減できる。 |
| イ | 受電設備からCPUなどのLSIまで,同じ電圧のまま給電できる。 |
| ウ | 停電の危険がないので,電源バックアップ用のバッテリを不要にできる。 |
| エ | トランスを用いて容易に昇圧,降圧ができる。 |
解答
ア
解説
この問題のポイントは
「交流給電」と「直流給電」の違いを理解することです。
一般的なデータセンターの電力の流れ
通常の交流給電では、電力は次のように変換されます。
発電所
↓ (交流)
受電設備
↓
UPS(交流→直流)
↓
インバータ(直流→交流)
↓
サーバ電源(交流→直流)
↓
CPU・電子回路
つまり実際には
交流 → 直流 → 交流 → 直流
という変換が繰り返されています。
この変換のたびに 電力損失(変換ロス) が発生します。
直流給電の場合
直流給電では次のようになります。
発電所
↓
受電設備
↓
直流電源装置
↓
サーバ
↓
CPU
つまり
変換回数が減る
ため、電力損失が少なくなります。
これが 直流給電の最大のメリットです。
各選択肢の解説
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| ア | ○ | 電力変換回数が減るため電力損失が減る |
| イ | × | CPUは数Vレベルなので電圧変換は必要 |
| ウ | × | 停電対策としてバッテリは必要 |
| エ | × | トランスは交流専用 |
イが誤りの理由
CPUなどのLSIは
1V前後
で動作します。
しかしデータセンターの給電電圧は
- 48V
- 380V DC
などです。
そのため
途中で電圧変換(DC-DCコンバータ)が必要
になります。
ウが誤りの理由
直流給電でも
停電は普通に発生します。
そのためデータセンターでは
- UPS
- バッテリー
- 自家発電
などのバックアップが必要です。
エが誤りの理由
トランスは
交流でしか使えません。
理由は電磁誘導です。
電磁誘導は
磁束が変化するときのみ電圧が生じる
ため、
- 交流 → 磁束が変化する → 変圧できる
- 直流 → 磁束が変化しない → 変圧できない
という違いがあります。
問題の用語解説
直流給電(DC給電)
サーバや通信機器に
直流電力を直接供給する方式
主に通信設備やデータセンターで使用されます。
代表的な電圧
- 48V(通信設備)
- 380V DC(データセンター)
UPS(Uninterruptible Power Supply)
停電時でも電力を供給する装置。
構成
商用電源
↓
整流器
↓
バッテリ
↓
インバータ
↓
サーバ
インバータ
直流 → 交流
に変換する装置。
コンバータ
交流 → 直流
または
直流 → 別電圧の直流
に変換する装置。
体系的位置づけ
この問題はシラバスの次の分野に該当します。
コンピュータシステム
└ ハードウェア
└ 電源装置
└ 直流給電
関連知識
- UPS
- インバータ
- コンバータ
- 電力効率
- データセンター省エネ
今回の問題の重要ポイント
今回の試験ポイントは次の3つです。
① 電力変換にはロスがある
AC → DC → AC → DC
変換が多いほどロスが増える。
② 直流給電は変換回数を減らす
AC → DC
だけになる。
まとめ
今回の問題のポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 直流給電のメリット | 電力変換回数を減らせる |
| 目的 | 電力効率の向上 |
| トランス | 交流専用 |
| CPU電圧 | 数Vレベルなので電圧変換が必要 |

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