応用情報技術者試験過去問を解いてみた R6年度 春期 問21


はじめに

今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。
今回は「論理回路」と「タイムチャートの読み取り」に関する問題です。

この分野は一見シンプルですが、波形の変化と論理式の対応関係を正確に理解する必要があり、意外と差がつきやすいポイントです。


問題

入力がAとB、出力がYの論理回路を動作させたとき、図のタイムチャートが得られた。
この論理回路として、適切なものはどれか。

引用:独立行政法人 情報処理推進機構


解答

正解:ウ(NAND回路)


解説

① タイムチャートの読み取り

まず、A・B・Yの関係を整理します。

ABY
001
011
101
110

→ この表から分かることは、

  • AとBが両方1 → Y = 0
  • それ以外 → Y = 1

② 論理の意味

この動作は次の論理と一致します。

Y = NOT (A AND B)

つまり:

  • ANDの否定
  • 別名:NAND

③ 各選択肢の意味

選択肢回路内容
XOR異なると1 → 違う
XNOR同じと1 → 違う
NAND両方1で0 → 正解
NOR両方0で1 → 違う

問題の用語解説

XOR(排他的論理和)

  • 入力が異なるときだけ1になる論理
  • 「どちらか一方だけ」

XNOR(同値)

  • 入力が同じときに1
  • 「一致しているか」

タイムチャート

  • 時間に対する信号の変化を表した図
  • デジタル回路では非常に重要

体系的位置づけ

この問題は以下の分野に属します。

ハードウェア
└ 論理回路
├ 基本ゲート(AND / OR / NOT)
├ 複合ゲート(NAND / NOR)
└ 応用(XOR / XNOR)

今回の問題の重要ポイント

「波形」→「真理値表」に変換する力

タイムチャートを見たら、

→ すぐに「A・B・Yの対応表」を作る

これが最重要です。

補足:各論理ゲートについて

基本となる論理ゲート(AND・OR・NOT)

デジタル回路は基本的に次の3つの論理ゲートから構成されています。

ゲート意味説明
AND論理積両方1のときだけ1
OR論理和どちらかが1なら1
NOT否定0と1を反転

ANDゲート

AB出力
000
010
100
111

イメージ
両方ONのときだけON


ORゲート

AB出力
000
011
101
111

イメージ
どちらかONならON


NOTゲート

A出力
01
10

イメージ
反転する


応用論理ゲート

実際の回路では、基本ゲートを組み合わせた応用ゲートがよく使われます。

今回の問題では次の4つが登場しています。

ゲート意味
XOR排他的論理和
XNOR同値回路
NANDNOT AND
NORNOT OR

XOR(排他的論理和)

意味
入力が異なるとき1になる

AB出力
000
011
101
110

イメージ
「どちらか一方だけ1」


XNOR(同値回路)

意味
入力が同じとき1になる

AB出力
001
010
100
111

これは

XNOR = NOT(XOR)

とも表されます。


NAND(NOT AND)

意味
ANDの結果を反転

AB出力
001
011
101
110

NOR(NOT OR)

意味
ORの結果を反転

AB出力
001
010
100
110


回路記号の見分け方

試験では記号の違いも重要です。

回路見分け方
XORORの形+入力側に追加曲線
XNORXOR+出力に○
NANDAND+出力に○
NOROR+出力に○

特に

出力の○(バブル)=NOT

を意味します。



補足2:NANDの存在意義

👉 AND・OR・NOTだけで理論上は全部作れる
👉 それでも他のゲートが登場するのは「実用上の理由」があるから

です。

ここを「試験対策」と「実務」の両面で整理すると、かなり理解が深まります。


■ なぜ他の論理回路があるのか

理由は大きく3つです。

  • ① 回路をシンプルにできる
  • ② 高速・低コストにできる
  • ③ よく使う処理をまとめた“部品化”できる

■ ① 回路をシンプルにできる

例えば今回のような「XNOR」

Y = NOT (A XOR B)

これをAND・OR・NOTだけで作ると…

A XOR B = (A AND NOT B) OR (NOT A AND B)

さらにNOTをかけるので、

👉 かなり複雑な回路になる


■ 比較

方法ゲート数複雑さ
基本ゲートだけ多い複雑
XOR / XNOR使用少ないシンプル

👉 つまり
「よく使う処理は1つの部品にした方が楽」


■ ② 高速・低コストにできる

現実の回路では、

  • ゲート数が多い
    → 遅くなる(遅延が増える)
    → 電力も増える

■ イメージ

ゲートが多い
→ 信号が何段も通る
→ 遅れる

一方で、

XNORを1発で使う
→ 速い
→ 消費電力も少ない

👉 ハードウェアでは超重要


■ ③ よく使う処理の“部品化”

例えば:

XORが使われる場面

  • 加算回路(足し算)
  • 誤り検出(パリティ)
  • 暗号

XNORが使われる場面

  • 一致判定(比較回路)
AとBが同じか?
→ XNOR

👉 つまり

「頻出パターンは専用部品にした」


■ NAND / NORが特別な理由

ここは試験でもかなり重要です。


■ NAND / NORは「万能ゲート」

実は…

👉 NANDだけで全部の回路が作れる
👉 NORだけでも全部作れる


■ 例(NANDだけでNOT)

A NAND A = NOT A

■ なぜ重要?

実務では:

  • 同じ種類のゲートだけで作ると
    → 製造が楽
    → コストが下がる

👉 だから

NANDだけの回路
NORだけの回路

が実際に使われる


■ NANDで回路を表現すると…


● NOT

A NAND A = NOT A

👉 同じ入力を2つ入れるだけ


● ANDも作れる

A AND B = NOT (A NAND B)

👉 NANDのあとにNOT(=NANDで代用できる)


● ORも作れる(少しトリッキー)

A OR B = (NOT A) NAND (NOT B)

👉 ド・モルガンの法則を利用



参考情報

コメント

タイトルとURLをコピーしました