アクセンチュアが大規模なリストラを行うとのニュースが流れた。
リストラ用に計上した予算はなんと1300億円。額が大きすぎて、もはやピンとこない。もし仮に社員の年収を600万円と仮定すれば、単純計算で約2万1000人分の給与に相当する(1300億÷0.06億=約2.1万)。もちろん、実際の給料はもっと高いだろうし、退職金や再就職支援費などを含めれば人数は減るに違いないが、それでも「町ひとつ分」がいなくなるような規模感である。アクセンチュアといえば、クールなコンサルタントたちがPowerPoint片手に未来を語る姿が印象的だが、その未来が今まさにAIによって書き換えられようとしている。
AI導入によるリストラの波――それが、いよいよコンサル業界にも押し寄せてきた。これまでは「AIに仕事が奪われる」などと半信半疑で言われていたが、いざこうして現実の数字として現れると、もはや笑い話ではない。AIが会議資料を作り、レポートをまとめ、分析を自動化する。人間がやっていた仕事を「秒速でこなすアシスタント」が出現したのだ。いくら優秀なコンサルでも、AIに残業代も休憩もなしで働かれたら勝ち目は薄い。
もっとも、アクセンチュアは外資系であり、日本法人はリストラの対象外とのこと。とはいえ、「限定的」という言葉ほど安心できない表現もない。「火は日本までは届かない」と言われつつ、気づけば灰が降ってくるのが世の常である。
思えば、似たような論調はインターネット黎明期にもあったと記憶している。「ネットで仕事がなくなる」「紙の新聞は滅びる」などと騒がれたものだ。しかし、結果として消えた仕事もあれば、新しく生まれた仕事もあった。ウェブデザイナーやSEOコンサルなど、当時存在しなかった職業が今では当たり前になっている。だが、AIのスピードはその比ではない。インターネットが普及するのに約10年かかったのに対し、AIはChatGPT登場からわずか3年で世の中をひっくり返している。例えるなら、ゆっくり川を渡っていたのがインターネット時代なら、AI時代はロケットで対岸に突っ込む勢いである。
この変化の速さを前にすると、もはや「AIに仕事を奪われる」ではなく、「AIに追い抜かれた自分をどうアップデートするか」という話に変わってくる。人間の強みは創造力や感情、そして「ユーモア」だと言われるが、それもAIが学び始めている。近い将来、「上司AI」が部下に冗談を飛ばす時代が来るかもしれない。そうなったとき、人間の出番はますます減る――ただし、AIが「オチが弱い」と批判されるうちは、まだ我々にも希望があるだろう。
AI時代の幕はすでに開いている。アクセンチュアのリストラは、その序章に過ぎない。これから先、「自分の仕事はAIにできるか?」という問いに、誰もが向き合う時代になる。答えを出すのは、AIではなく、我々自身である。
参考情報
2025/09/27 日本経済新聞:アクセンチュア、1300億円規模リストラ AI導入で事業見直し


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