
画像引用元:NARUTO -ナルト- 52
このシーン、実はめちゃくちゃ良いシーンである。
……のだが、同時にネットでは“おもちゃ”として扱われてしまっている、少し悲しい一コマでもある。
今回は、なぜこのシーンがネタにされているのかを、NARUTOをあまり読んだことがない人でも理解できるように解説していきたい。
目次
■ どういうシーンであるのか?
主人公のナルト(左)とサスケ(右)が戦っている場面である。
■ なぜ戦っているのか?
元々この二人は仲間であり、ほぼ“親友”と言ってよい関係だった。
しかし、サスケが復讐のために闇落ちし、その結果として現在は敵対している状況である。
ナルトは、闇へと沈んでしまったサスケを救い出すために戦っているのである。
なぜそこまでサスケを思うのかといえば、二人が“似た境遇”を持つからである。
- 幼い頃に両親を亡くしている
- 孤独の中で育った
- 復讐してやる、と強く思う状況を経験している
しかし、歩んだ道は異なった。
ナルトは周囲の人々の支えを受け、仲間を大切にする人間へと成長した。
一方サスケは、周囲とのつながりよりも復讐心を優先してしまい、孤独の道へと進んでしまったのである。
ナルトは「もし環境が少し違っていたら、自分がサスケの立場になっていたかもしれない」と考えている。
ゆえに見捨てることができず、戦ってでも取り戻そうとする。
この想いが、このワンシーンに凝縮されているのである。
■ 「逆だったかもしれねェ」とは誰のセリフで、どんな意味なのか?
これはナルトが心の中で発している言葉である。
「もし境遇が少しでも違っていたら、立場は“逆”だったかもしれない」
という意味を示す、非常に象徴的なセリフである。
■ 二人はこのコマでどんな技を出そうとしているのか?
- ナルトは左手で 千鳥
- サスケは右手で 螺旋丸
……の技を出すように描かれている。
しかし、NARUTOを知る者ほど「ん?」と違和感を覚えるはずである。
なぜなら、
- 千鳥は本来サスケの得意技
- 螺旋丸は本来ナルトの得意技
つまり、技が入れ替わっているのである。
これはおそらく作者の意図的な演出であり、
「もし境遇が違えば、立場は入れ替わっていたかもしれない」
ということを、“技の入れ替え”によって象徴的に表現したものと考えられる。
細部にまで意味を込めた、非常に重要なシーンなのである。
■ では、なぜネタにされているのか?
ここまで読めば分かるとおり、本来は作品屈指の名場面である。
……しかしながら。
視点を少し変え、
あのセリフを「作者の心の声」だと誤読してみると、一気にシュールな光景へと変貌する。
「あっ、書き間違えた……」
“逆だったかもしれねェ……(技、逆にしちゃった…)”
という、謎のメタ表現に見えてしまうのである。
せっかくの名シーンが台無しになるのだが、
この読み替えが“完全に間違いとも言い切れない(そう読み替えても意味が通ってしまう)”のがまた厄介なのである。
この絶妙なギャップが、ネタにされる=ネットでおもちゃにされる理由となっている。
■ おわりに…
NARUTOには、このような“良いシーンなのに妙に面白い”場面がほかにも多数存在している。
需要があれば、そうしたシーンも紹介していきたいと思う。
今回紹介したコマは下記巻にあるので、興味があれば手にしてみてください。

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