新聞記事から考える 19:【裁判】パーソナルジムへの訴訟

 パーソナルジムに通っていた女性が、ジムに対して訴訟を起こしたらしい。

 無理なトレーニングを受けたことが原因でけがをしたという主張とのことである。世の中には、転んでも自分の足より地球の固さを恨むタイプの人がいる(かもしれない)が、今回もそれに近い匂いを感じなくもない。けがの原因をジム側に求めるのも、なんだかなあ…と思ってしまうのである。

 もちろん、もし使用中の器具がバキッと壊れて、そのタイミングで骨折をしたとかであれば、ジム側の責任になることもあるだろう。だが、今回はダンベルを使ったトレーニング。そうではないらしい。

 一方で、女性側は主張の一つとして、「準備運動の指示がなかったのは安全配慮に欠けているのでは」と主張したらしい。しかし、準備体操まで逐一気にかけなければならないのだろうか…と正直思ってしまう。たとえば、野球のバッティングセンターで「準備運動はしましたか?」とスタッフが声をかけてくる姿を想像してみてほしい。なんだかやたら世話焼きなお母さんみたいである。
ジムがそこまで面倒を見始めたら、「水分補給は?」「昨夜はしっかり寝ました?」「最近ストレス溜まってませんか?」と、最後は保健室の先生になってしまいそうである。そこまで求めるのは、やや酷ではないか。

 とはいえ、もしかすると、この女性はほとんど運動経験がなかったのかもしれない。運動経験があれば、「これ以上やるとやばいかも…」という感覚はわかるし、たとえトレーナーの声があっても「ちょっとこれ以上はやめておきます」とか言えそうだからである。

 しかし今回の裁判では、結果的に女性側が敗訴となった。裁判所としても「準備運動までジムの責任にするのはさすがに…」と判断したのだろう。
ただ、こういう訴えが一件でも起きると、ジム側としては内心かなり怖いはずである。「ちゃんと安全配慮できているだろうか…」と、毎日が不安な上での接客になってしまう(私ならそうなりかねない)。トレーニング指導より、クレーム回避のほうが高負荷トレーニングになる未来が見えてしまう。

 世の中、様々なサービスがあるが、本来の“自分でも注意するべき部分”がどこか曖昧になっているかもしれない。ジムでのトラブルも、もしかすると現代の「自己責任」と「サービス過剰」のせめぎ合いを象徴しているのかもしれない——そんなことを、今回のニュースから感じたのである。

参考情報

2025/11/16  日本経済新聞:パーソナルジム訴訟 個人指導、ケガの責任は 「やれるところまで頑張って!」 高まる人気、事故も増加(揺れた天秤法廷から)


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