はじめに
今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。
今回のテーマは、個人情報保護法における「要配慮個人情報」です。
個人情報保護法には、次のような似た用語が登場します。
- 個人情報
- 個人識別符号
- 要配慮個人情報
名前だけを見ると、「全部同じようなものでは?」と思ってしまいます。しかし、それぞれ意味や役割が異なります。
特に今回の問題では、「個人を特定できる情報」と「差別や不利益につながるおそれがある情報」の違いを見分けることがポイントです。
問題
問80 個人情報のうち、個人情報保護法における要配慮個人情報に該当するものはどれか。
選択肢
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| ア | 個人情報の取得時に、本人が取扱いの配慮を申告することによって設定される情報 |
| イ | 個人に割り当てられた、運転免許証、クレジットカードなどの番号 |
| ウ | 生存する個人に関する、個人を特定するために用いられる勤務先や住所などの情報 |
| エ | 本人の病歴、犯罪の経歴など不当な差別や不利益を生じさせるおそれのある情報 |
解答
解答:エ
解説
要配慮個人情報とは、本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないように、取扱いに特に配慮を必要とする個人情報です。
個人情報保護法では、次のような情報が要配慮個人情報として定められています。
- 人種
- 信条
- 社会的身分
- 病歴
- 犯罪の経歴
- 犯罪により害を被った事実
- 心身の機能の障害
- 健康診断などの結果
- 医師などによる診療・指導・調剤に関する情報
- 刑事事件に関する手続が行われた事実
- 少年の保護事件に関する手続が行われた事実
したがって、病歴や犯罪の経歴を挙げている「エ」が正解です。
なお、要配慮個人情報を取得する場合は、法令に基づく場合などの例外を除き、原則として、あらかじめ本人の同意を得る必要があります。
各選択肢を確認する
ア:誤り
本人が「この情報には配慮してほしい」と申告しただけで、法律上の要配慮個人情報になるわけではありません。
要配慮個人情報に該当するかどうかは、本人の希望ではなく、法律や政令で定められた情報の内容によって判断されます。
本人にとっては重要な情報でも、それだけで法律上の要配慮個人情報になるわけではない、という点がひっかけです。
イ:誤り
運転免許証番号は、個人情報保護法上の「個人識別符号」に該当します。
一方、クレジットカード番号は、個人情報保護委員会の説明によると、それだけでは個人識別符号に該当しません。契約形態や利用状況によっては、番号だけで常に特定の個人を識別できるとは限らないためです。
ただし、クレジットカード番号も、氏名などの情報と組み合わせて特定の個人を識別できる場合は、個人情報として扱われます。
いずれにしても、運転免許証番号やクレジットカード番号は、病歴や犯罪の経歴のような要配慮個人情報ではありません。
ウ:誤り
住所や勤務先などは、単独または他の情報と容易に照合することによって特定の個人を識別できる場合、個人情報に該当します。
しかし、住所や勤務先であるというだけでは、要配慮個人情報には該当しません。
つまり、「個人を特定できる情報」と「差別や不利益を防ぐために特別な配慮が必要な情報」は、分けて考える必要があります。
エ:正しい
病歴や犯罪の経歴は、本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益につながるおそれがある情報です。
そのため、個人情報保護法における要配慮個人情報に該当します。
個人情報・個人識別符号・要配慮個人情報の違い
3つの用語を表で整理すると、次のようになります。
| 用語 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| 個人情報 | 生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるもの | 氏名、氏名と住所の組合せ、顔写真など |
| 個人識別符号 | 単体で特定の個人を識別できるものとして法令で定められた符号 | 運転免許証番号、旅券番号、マイナンバー、本人認証用の指紋データなど |
| 要配慮個人情報 | 差別や偏見などの不利益を防ぐため、取扱いに特別な配慮が必要な個人情報 | 病歴、犯罪の経歴、人種、信条、健康診断結果など |
ここで注意したいのは、3つが完全に並列の分類ではないことです。
個人情報が大きな枠組みであり、個人識別符号を含む情報も個人情報になります。また、要配慮個人情報も個人情報の一種です。
「番号ならすべて個人識別符号」というわけでもありません。数字を見つけたら全部同じ箱へ放り込む、という豪快な分類は通用しないのです。
用語解説
要配慮個人情報
要配慮個人情報とは、本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないように、取扱いに特に配慮を必要とする個人情報です。
個人情報取扱事業者が要配慮個人情報を取得する場合は、一定の例外を除き、原則として、あらかじめ本人の同意が必要です。
また、要配慮個人情報を含む個人データは、オプトアウト方式による第三者提供が認められていません。
個人識別符号
個人識別符号とは、特定の個人を識別できるものとして法令で定められた文字、番号、記号などの符号です。
大きく分けると、次のようなものがあります。
- 身体的特徴を変換した符号
- 公的に割り当てられた番号など
身体的特徴を利用するものには、本人認証に使用できるよう変換された指紋、顔、虹彩、声紋などの特徴データがあります。
公的な番号には、運転免許証番号、旅券番号、マイナンバーなどがあります。
個人情報
個人情報とは、生存する個人に関する情報で、次のいずれかに該当するものです。
- 氏名などによって特定の個人を識別できるもの
- 他の情報と容易に照合することで、特定の個人を識別できるもの
- 個人識別符号が含まれるもの
住所、電話番号、メールアドレスなどは、常に単独で個人情報になるとは限りません。ほかの情報との組合せによって特定の個人を識別できるかどうかが判断のポイントになります。
体系的位置づけ
この問題の試験上の分類は、次のとおりです。
| 区分 | 分類 |
|---|---|
| 分野 | ストラテジ系 |
| 大分類 | 企業と法務 |
| 中分類 | 法務 |
| 小分類 | セキュリティ関連法規 |
個人情報保護法は情報セキュリティにも深く関係しますが、応用情報技術者試験の分類では「企業と法務」に位置づけられます。
今回の重要ポイント
1.病歴や犯罪の経歴は要配慮個人情報
問題文に次のような情報が出てきたら、要配慮個人情報を疑いましょう。
- 病歴
- 犯罪の経歴
- 障害
- 人種
- 信条
- 健康診断の結果
キーワードは「不当な差別・偏見・不利益」です。
2.番号だから要配慮個人情報になるわけではない
運転免許証番号やマイナンバーは個人識別符号ですが、要配慮個人情報ではありません。
また、クレジットカード番号や携帯電話番号は、それだけでは法律上の個人識別符号に該当しません。
「番号」という見た目だけで判断しないことが重要です。
3.本人の申告ではなく法律上の定義で判断する
本人が配慮を求めた情報であっても、それだけで要配慮個人情報になるわけではありません。
試験では、本人がどう感じるかではなく、法律上の定義に該当するかどうかで判断します。
まとめ
今回の正解は「エ」でした。
要配慮個人情報とは、病歴や犯罪の経歴など、不当な差別、偏見その他の不利益が生じないように、取扱いに特に配慮を必要とする個人情報です。
今回のポイントを整理すると、次のようになります。
- 病歴や犯罪の経歴は要配慮個人情報
- 運転免許証番号は個人識別符号
- クレジットカード番号は、それだけでは個人識別符号ではない
- 住所や勤務先は、個人を識別できる場合には個人情報になる
- 要配慮個人情報は、原則として取得前に本人の同意が必要
- 本人の申告だけで要配慮個人情報になるわけではない
個人情報、個人識別符号、要配慮個人情報は似ていますが、「何を基準に分類しているのか」を考えると整理しやすくなります。
単なる暗記ではなく、「個人を識別するための情報なのか」「差別や不利益を防ぐために特別な配慮が必要な情報なのか」という視点で判断していきましょう。

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