はじめに
今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。
今回のテーマは、品質管理手法の一つである「連関図」です。
問題の原因が一つだけなら、「原因はこれ」と比較的簡単に特定できます。
しかし実際の仕事では、
- 人手不足
- 教育不足
- 設備トラブル
- 作業ミス
- 情報共有不足
など、複数の要因が絡み合って問題が発生することがあります。
このような複雑な問題を整理し、原因と結果の関係を明らかにするために使われるのが連関図です。
今回は、連関図だけでなく、パレート図・マトリックス図・アローダイアグラムとの違いも整理していきます。
問題
分析対象としている問題に数多くの要因が関係し、それらが相互に絡み合っているとき、原因と結果、目的と手段といった関係を追求していくことによって、因果関係を明らかにし、解決の糸口をつかむための図はどれか。
選択肢
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| ア | アローダイアグラム |
| イ | パレート図 |
| ウ | マトリックス図 |
| エ | 連関図 |
解答
正解
エ 連関図
解説
この問題で最も重要なキーワードは、
「数多くの要因が関係し、それらが相互に絡み合っている」
という部分です。
この表現が出てきたら、まず連関図を思い浮かべます。
連関図では、ある問題について、
「なぜ起きたのか?」
を一方向だけに掘り下げるのではなく、複数の原因同士の関係まで含めて整理します。
例えば、「納期遅れ」という問題があったとします。
単純に、
教育不足
↓
作業ミス
↓
納期遅れ
だけなら一本道です。
しかし、実際には次のようなことも考えられます。
教育不足
↓
人手不足 ───→ 作業ミス ── ─→ 納期遅れ
↓ ↑ ↑
残業増加 ───→ 疲労増加 ────────┘
↑
設備停止
↑
点検不足
「人手不足が残業を増やす」
「残業による疲労が作業ミスを増やす」
「設備停止も納期遅れにつながる」
というように、原因同士が複雑につながっています。
この関係を整理することで、
どこに手を打てば問題解決につながりそうか
を考えやすくするのが連関図です。
問題の用語解説
今回の選択肢は、どれも品質管理や業務改善などで登場する手法です。
それぞれの用途を整理しておきましょう。
| 手法 | 主な用途 | 覚えるキーワード |
|---|---|---|
| アローダイアグラム | 作業順序や日程の管理 | 工程・日程・クリティカルパス |
| パレート図 | 優先的に改善すべき問題の把握 | 多い順・重点化 |
| マトリックス図 | 複数の要素間の関係を整理 | 行×列・対応関係 |
| 連関図 | 複雑な因果関係を整理 | 原因と結果・複雑に絡む |
アローダイアグラム
アローダイアグラムは、作業の順序や所要時間を矢印などで表し、プロジェクトの日程を管理するための手法です。
例えば、
開始
↓
作業A
↓
作業B ──→ 作業D
↓
作業C
↓
終了
といった形で、どの作業がどの作業の後に行われるのかを表します。
アローダイアグラムでは、
- 作業の順序
- 所要時間
- プロジェクト全体の期間
- クリティカルパス
などを把握します。
今回の問題は「作業の日程」ではなく「原因と結果の関係」を尋ねているため、アローダイアグラムではありません。
なお、アローダイアグラム法自体も新QC七つ道具の一つです。日本科学技術連盟でも、新QC七つ道具として連関図法・マトリックス図法・アローダイアグラム法などが整理されています。
パレート図
パレート図は、問題を件数や損失額などの大きい順に並べ、
「どの問題から優先的に改善すべきか」
を判断するための図です。
例えば、製品不良の原因が次のようになっていたとします。
| 不良原因 | 件数 |
|---|---|
| 傷 | 50 |
| 寸法不良 | 25 |
| 汚れ | 15 |
| その他 | 10 |
件数の多い順に棒グラフを並べ、累積値を折れ線で表します。
つまり、
何が一番多いのかを見つけ、重点的に改善する
ための手法です。
今回の問題は「優先順位」ではなく「因果関係」を明らかにすることが目的なので、パレート図ではありません。
マトリックス図
マトリックス図は、2種類以上の要素を行と列に並べ、
要素同士にどのような関係があるか
を整理する方法です。
例えば、
| 不具合A | 不具合B | 不具合C | |
|---|---|---|---|
| 部品A | ○ | ◎ | |
| 部品B | ○ | ||
| 部品C | ◎ | ○ |
のように、
「部品」と「不具合」
といった異なる要素の対応関係を見ることができます。
日本科学技術連盟でも、行と列に異なる事象を配置し、その交点で関連の有無や度合いを捉える手法として説明されています。
今回の問題では単純な対応関係ではなく、複雑な因果関係を追求するため、マトリックス図ではありません。
連関図
今回の正解です。
連関図は、
原因と結果、目的と手段などの関係が複雑に絡み合っている場合に、それらを矢印で結んで整理する手法
です。
例えば、
問題
↑ ↑
原因A ← 原因B
↑ ↑
原因C → 原因D
↑
原因E
のように、一つの原因が複数の結果につながったり、複数の原因が一つの問題につながったりします。
そのため、
「原因が多すぎて、何から手を付ければいいのか分からない」
という場面に向いています。
QC七つ道具と新QC七つ道具
今回の問題を理解するうえで、QC七つ道具と新QC七つ道具の違いも押さえておきたいところです。
QC七つ道具
QC七つ道具は、主に数値データを分析するときに使われます。
代表的なものは次のとおりです。
| QC七つ道具 |
|---|
| パレート図 |
| 特性要因図 |
| ヒストグラム |
| 散布図 |
| チェックシート |
| 管理図 |
| 層別 |
新QC七つ道具
新QC七つ道具は、言語情報や複雑な関係を整理する場面でよく使われます。
| 新QC七つ道具 |
|---|
| 親和図法 |
| 連関図法 |
| 系統図法 |
| マトリックス図法 |
| マトリックス・データ解析法 |
| PDPC法 |
| アローダイアグラム法 |
ここで注意したいのが、
アローダイアグラム、マトリックス図、連関図はいずれも新QC七つ道具
ということです。
つまり、この問題は、
「新QC七つ道具はどれ?」
と聞いているわけではありません。
それぞれを何のために使うのか
まで理解していないと正解できません。
体系的位置づけ
今回の問題は、応用情報技術者試験のストラテジ系に位置付けられる内容です。
現行のIPA「応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2」では、品質管理手法は、
ストラテジ系
↓
企業と法務
↓
企業活動
↓
業務分析・データ利活用
↓
OR・IE
↓
品質管理手法
という位置付けになっています。
IPAでは現在、応用情報技術者試験のシラバスVer.7.2を公開しています。
品質管理という名前から「マネジメント系かな?」と思いやすいところですが、試験体系上はストラテジ系の企業活動として扱われる点にも注意しましょう。
今回の問題の重要ポイント
今回、特に覚えておきたいのは次の違いです。
| 問題文に出てくるキーワード | 選ぶ手法 |
|---|---|
| 原因と結果が複雑に絡み合う | 連関図 |
| 件数の多いものから重点的に改善 | パレート図 |
| 行と列で要素の関係を整理 | マトリックス図 |
| 作業順序・日程・クリティカルパス | アローダイアグラム |
特に今回の場合、
「相互に絡み合っている」+「因果関係を明らかにする」
という2つのキーワードが決め手です。
この組み合わせを見たら、
連関図
と判断できるようにしておきましょう。
まとめ
今回の問題の正解は、
エ 連関図
でした。
連関図は、多くの原因が複雑に絡み合っている問題について、原因と結果などの関係を矢印で整理し、問題の構造を明確にして解決の糸口を探す手法です。
今回の選択肢は、次のように整理すると覚えやすくなります。
| 手法 | 一言で覚えるなら |
|---|---|
| 連関図 | 複雑な因果関係 |
| パレート図 | どれから改善する? |
| マトリックス図 | 何と何が関係する? |
| アローダイアグラム | どの順番で進める? |
名前だけを見ると似たような図が並んでいますが、「その図で何を知りたいのか」に注目すると区別しやすくなります。

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