はじめに
今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。
今回のテーマは、期待金額価値(Expected Monetary Value:EMV)です。
「新しいシステムを作るか、それとも既存システムを改修するか」
このように複数の案があり、さらに将来の需要がどうなるか分からない場合、単純に「一番儲かりそうな案」を選ぶだけでは適切な判断ができません。
そこで、それぞれの結果が起こる確率を考慮して金額を評価するのが今回のポイントです。
計算自体はそれほど難しくありません。
「確率を掛ける → 合計する → 投資額を引く」
という流れを押さえておきましょう。
問題
工場の生産能力を増強する方法として、
- 新規システムを開発する案
- 既存システムを改修する案
を検討しています。
条件は以下の通りです。
条件整理表
| 項目 | 新規システム開発 | 既存システム改修 |
|---|---|---|
| 投資額 | 100億円 | 50億円 |
| 需要拡大時の収入 | 180億円 | 120億円 |
| 需要縮小時の収入 | 50億円 | 40億円 |
| 需要拡大確率 | 70% | 70% |
| 需要縮小確率 | 30% | 30% |
※期待金額価値 = 収入 − 投資額
このとき、採用すべき案と期待金額価値の組合せとして適切なものはなにか。
| 選択肢 | 採用すべき案 | 期待金額価値 |
|---|---|---|
| ア | 既存システムの改修 | 46億円 |
| イ | 既存システムの改修 | 96億円 |
| ウ | 新規システムの開発 | 41億円 |
| エ | 新規システムの開発 | 130億円 |
解答
正解:ア
既存システムの改修(期待金額価値:46億円)
解説
この問題のポイントは、
各案の期待金額価値(EMV)を計算すること
です。
期待金額価値とは
将来の結果が複数ある場合に、
「平均的にどれくらい得をするのか」
を金額で表したものです。
式は次の通りです。
① 新規システム開発の場合
まず利益を求めます。
| 状況 | 収入 | 投資額 | 利益 |
|---|---|---|---|
| 需要拡大 | 180 | 100 | 80 |
| 需要縮小 | 50 | 100 | -50 |
これを期待値計算します。
したがって、
期待金額価値 = 41億円
です。
② 既存システム改修の場合
まず利益を求めます。
| 状況 | 収入 | 投資額 | 利益 |
|---|---|---|---|
| 需要拡大 | 120 | 50 | 70 |
| 需要縮小 | 40 | 50 | -10 |
これを期待値計算します。
したがって、
期待金額価値 = 46億円
です。
比較結果
| 案 | 期待金額価値 |
|---|---|
| 新規システム開発 | 41億円 |
| 既存システム改修 | 46億円 |
→ よって
既存システムの改修を採用
します。
問題の用語解説
期待金額価値(EMV)
将来の不確実な結果を、
「平均するといくらになるか」
で評価する手法です。
プロジェクト管理、投資判断、リスク分析でよく使われます。
投資額
最初に支払うコストです。
設備投資、人件費、システム開発費などが該当します。
収入
投資によって将来得られる売上や利益の元になる金額です。
問題では「収入 − 投資額」で利益を求めています。
意思決定分析
複数の選択肢があるときに、
どの案が最も合理的か
を判断する考え方です。
感覚ではなく、数字で判断することが重要です。
体系的位置づけ
この問題は、
テクノロジ系
→ プロジェクトマネジメント
→ リスクマネジメント
に分類されます。
特に、
- 定量的リスク分析
- 意思決定分析
- EMV(期待金額価値)
の理解が重要です。
全体像イメージ
不確実な未来
↓
複数のシナリオを想定
↓
各シナリオの利益を計算
↓
確率を掛ける
↓
平均値(期待値)を出す
↓
最も有利な案を選ぶ
今回の問題の重要ポイント
ポイント① まず利益を出す
収入そのものではなく、
収入 − 投資額
で考えること。
ここを間違える人が非常に多いです。
ポイント② 確率を掛ける
単純比較ではなく、
「その結果が起こる確率」
を反映させる必要があります。
ポイント③ 高い収入=正解ではない
新規開発の方が最大収入は大きいですが、
投資額も大きく、失敗時の損失も大きいです。
そのため、
期待値では既存改修が勝ちます。
ここが非常に重要です。
まとめ
今回の問題では、
期待金額価値(EMV)
を使って最適な投資案を判断しました。
結論としては、
既存システム改修(46億円)
が正解でした。
この問題は単なる計算ではなく、
「どう意思決定するか」
を学ぶ問題です。
実務でも非常に重要なので、
ぜひ理解まで押さえておきましょう。


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