応用情報技術者試験過去問を解いてみた R6年度 春期 問39

応用情報技術者試験

はじめに

今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。

情報セキュリティ分野では、企業のセキュリティ組織の役割がよく出題されます。

特に混同しやすいのが次の組織です。

  • CSIRT
  • PSIRT
  • SOC

今回の問題では

「自社製品の脆弱性への対応」

という点がポイントになります。


問題

自社製品の脆弱性に起因するリスクに対応するための社内機能として,最も適切なものはどれか。

選択肢内容
CSIRT
PSIRT
SOC
WHOISデータベースの技術連絡担当

解答

イ:PSIRT


解説

この問題で最も重要なのは、

「自社製品の脆弱性」

という言葉です。

企業が開発・提供しているソフトウェアやハードウェアなどに脆弱性が見つかった場合、その脆弱性について調査し、関係部署と連携しながら対策や情報公開を進める必要があります。

その中心的な役割を担うのが、

PSIRT(Product Security Incident Response Team)

です。

PSIRTでは、例えば次のような活動を行います。

  • 製品に関する脆弱性報告の受付
  • 脆弱性の影響調査・評価
  • 開発部門などとの対応調整
  • 修正版やパッチなどの提供に向けた調整
  • セキュリティアドバイザリなどによる情報公開

ポイントは、PSIRTが単独ですべての修正作業をするというより、

製品のセキュリティ問題に対する司令塔として、社内外の関係者と調整する

という点です。

イメージすると、次のようになります。

外部の研究者・利用者など
          │
          │ 脆弱性を報告
          ▼
       ┌───────┐
       │ PSIRT │
       └───────┘
          │
     ┌────┼────┐
     ▼    ▼    ▼
   開発  品質  広報など
     │
     ▼
 調査・修正・情報公開

今回の問題では「自社製品」が対象なので、PSIRTが最も適切です。


各選択肢の解説

ア:CSIRT

誤りです。

CSIRTは、

Computer Security Incident Response Team

の略です。

コンピュータセキュリティインシデントへの対応や調整を行う組織です。

企業内のCSIRTであれば、例えば次のような事象に対応します。

  • 不正アクセス
  • マルウェア感染
  • 情報漏えい
  • サーバへの攻撃
  • アカウントの不正利用

例えば、次のようなイメージです。

社内PCでマルウェア感染
        ↓
     CSIRT
        ↓
被害確認・封じ込め・復旧・再発防止

ただし、

CSIRT=必ず社内システムだけを対象にする

というわけではありません。

CSIRTにはさまざまな形態があり、組織によって対象範囲も異なります。また、実際にはCSIRTが製品の脆弱性対応を担当するケースもあります。

とはいえ、今回の問題では明確に、

「自社製品の脆弱性」

と指定されているため、より適切なのはPSIRTです。


イ:PSIRT

正解です。

PSIRTは、

Product Security Incident Response Team

の略です。

名前の中にある「Product」のとおり、

自社が開発・提供する製品やサービスのセキュリティ問題

への対応を中心に行います。

例えば、次のような流れです。

自社ソフトウェアに脆弱性発見
            ↓
          PSIRT
            ↓
       影響範囲を調査
            ↓
       開発部門と連携
            ↓
      修正版・パッチ提供
            ↓
       脆弱性情報を公開

Ciscoの「Cisco PSIRT」などが分かりやすい例です。

また、Microsoft Security Response Center(MSRC)のように、名称にPSIRTを含んでいなくても、製品の脆弱性報告受付やセキュリティ対応を担う、PSIRTに相当する機能を持つ組織もあります。

今回の問題では、

自社製品の脆弱性への対応 → PSIRT

と判断できます。


ウ:SOC

誤りです。

SOCは、

Security Operation Center

の略です。

主な役割は、システムやネットワークなどを監視し、サイバー攻撃を検知・分析することです。

例えば、次のような業務を行います。

  • セキュリティ機器からのアラート監視
  • ログの分析
  • 不審な通信の検知
  • 攻撃の分析
  • インシデント対応につなげるための情報提供

イメージとしては、次のようになります。

ネットワーク・サーバ・PC
          │
          │ ログ・アラート
          ▼
       ┌─────┐
       │ SOC │
       └─────┘
          │
          ▼
   攻撃を検知・分析

SOCは「24時間365日監視する組織」と説明されることもありますが、すべてのSOCが必ず24時間365日体制というわけではありません。

そのため、

SOC=監視・検知・分析を中心とする組織

と覚えておくとよいでしょう。

今回の問題は製品の脆弱性対応について問われているため、SOCではありません。


エ:WHOISデータベースの技術連絡担当

誤りです。

WHOISは、ドメイン名やIPアドレスなどに関する登録情報を検索・参照するための仕組みです。

ドメイン名などについて、次のような情報を確認するために利用されます。

  • 登録情報
  • ネームサーバ情報
  • 各種連絡先情報

技術連絡担当は、ドメイン名などの技術的な運用に関する連絡先として設定されるものです。

そのため、

自社製品の脆弱性への対応を行う社内機能ではありません。

今回の問題とは役割が異なります。


問題の用語解説

PSIRTとは

PSIRTは、

Product Security Incident Response Team

の略です。

製品やサービスに関するセキュリティ上の問題に対応する組織・機能です。

主な役割は次のとおりです。

  • 脆弱性情報の受付
  • 脆弱性の分析・評価
  • 関係部門との調整
  • 修正や回避策の提供に向けた調整
  • 利用者への情報公開

覚えるときは、

Product=製品

に注目すると分かりやすいでしょう。


CSIRTとは

CSIRTは、

Computer Security Incident Response Team

の略です。

コンピュータセキュリティインシデントへの対応を行います。

企業内CSIRTの場合には、不正アクセスやマルウェア感染などが発生したときに、次のような対応を関係部署と連携して進めます。

  • 状況把握
  • 被害拡大の防止
  • 原因調査
  • 復旧
  • 再発防止

SOCとは

SOCは、

Security Operation Center

の略です。

システムやネットワーク、セキュリティ機器などから得られるログやアラートを監視・分析し、サイバー攻撃の検知や分析などを行う組織です。

CSIRTとの違いを単純化すると、

SOC
 ↓
攻撃を「見つける・分析する」

CSIRT
 ↓
インシデントに「対応する」

と考えると理解しやすくなります。

ただし、実際の企業ではSOCとCSIRTの役割が一部重なる場合もあります。


WHOISとは

WHOISは、ドメイン名やIPアドレスなどについて、登録情報を検索・参照するための仕組みです。

ドメイン管理に関係する仕組みであり、PSIRTやCSIRTのようなセキュリティインシデント対応組織ではありません。


CSIRT・PSIRT・SOCの違い

試験対策として、3つの違いを整理してみます。

組織主な役割主な対象
CSIRTセキュリティインシデントへの対応・調整組織で発生するセキュリティインシデントなど
PSIRT製品・サービスのセキュリティ問題への対応・調整自社が提供する製品・サービス
SOCセキュリティ監視・検知・分析システム、ネットワーク、端末、ログ、アラートなど

図にすると、次のようなイメージです。

               セキュリティ対応機能

┌──────────┼──────────┐
▼       ▼       ▼
SOC       CSIRT       PSIRT
│       │       │
監視・分析      事故対応      製品の脆弱性対応

この3つには必ずしも上下関係があるわけではありません。

企業によって組織構成や役割分担は異なります。


体系的位置づけ

学習上の位置づけを整理すると、今回の問題は次のように考えることができます。

情報セキュリティ
      │
      ├─ セキュリティ運用
      │       ├─ 監視・検知
      │       └─ インシデント対応
      │
      └─ セキュリティ体制
              ├─ SOC
              ├─ CSIRT
              └─ PSIRT

これはIPAのシラバス上の階層をそのまま表したものではなく、学習しやすいように整理したイメージです。

略語そのものを暗記するだけではなく、

「何を対象として、どのような役割を持つのか」

を区別できるようにしておくことが重要です。


今回の問題の重要ポイント

今回の問題で覚えておきたいのは、

「何を対象としているかを見る」

という考え方です。

問題文のキーワード対応する組織
製品・サービスの脆弱性PSIRT
セキュリティインシデントへの対応CSIRT
監視・ログ分析・攻撃検知SOC

試験対策として単純化すると、

製品        → PSIRT
事故対応    → CSIRT
監視・分析  → SOC

と覚えると判断しやすくなります。

特に今回のPSIRTは、

Product Security Incident Response Team

なので、

Product
   ↓
 製品
   ↓
PSIRT

と英単語から結び付けて覚えるのがおすすめです。

ただし、実際の企業では組織によって担当範囲が異なり、CSIRT、PSIRT、SOCの役割が一部重なる場合もあります。

あくまで、

それぞれの中心的な役割を区別するための覚え方

と考えましょう。


まとめ

今回の問題では、

自社製品の脆弱性に起因するリスクへの対応

を担当する社内機能が問われました。

正解は、

PSIRT(Product Security Incident Response Team)

です。

今回のポイントをまとめると、次のようになります。

用語覚えておきたい役割
PSIRT製品やサービスのセキュリティ問題への対応
CSIRTセキュリティインシデントへの対応
SOCセキュリティの監視・検知・分析
WHOISドメイン名などの登録情報を検索・参照する仕組み

似たような略語が並ぶとややこしいですが、

「何を対象にしている組織なのか」

を見ると整理しやすくなります。

今回なら、

「自社製品」→ Product → PSIRT

と結び付ければ正解できます。


参考情報

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