応用情報技術者試験過去問を解いてみた R6年度 春期 問33

応用情報技術者試験

はじめに

今回も、応用情報技術者試験の過去問を解いていきます。

今回のテーマは、ビット誤り率(BER:Bit Error Rate)から、誤りを含むパケット数の期待値を求める問題です。

一見すると難しそうですが、

  • ビット誤り率
  • パケットのビット数
  • パケット数

の3つを順番に整理すれば解くことができます。

ポイントになるのは、

「1ビットが誤る確率」から「1パケットの中に1ビット以上の誤りが含まれる確率」をどう求めるか

という部分です。

試験で使える簡単な近似式と、より厳密な計算方法の両方を確認していきます。

る問題です。


問題

ビット誤り率が 0.0001% の回線を使って、
1,500バイトのパケットを10,000個送信するとき、

誤りが含まれるパケットの個数の期待値はおよそいくらか。

選択肢
10
15
80
120

解答

エ:120


解答

エ:120

です。


解説

この問題は、次の流れで考えます。

ビット誤り率
    ↓
1パケットのビット数を求める
    ↓
1パケットに誤りが含まれる確率を求める
    ↓
送信パケット数を掛ける
    ↓
誤りパケット数の期待値

順番に見ていきましょう。

① ビット誤り率を小数に直す

問題では、ビット誤り率が

0.0001%

とあります。

「%」を小数に直すには100で割るので、

0.0001 ÷ 100
= 0.000001
= 1 × 10⁻⁶

となります。

つまりBERは、

1 × 10⁻⁶

です。

この問題では、各ビットが独立にこの確率で誤ると考えます。

イメージとしては、

100万ビットに約1ビットの割合で誤りが発生する

ということです。


② 1パケットをビット数に変換する

問題では1パケットが

1,500バイト

です。

1バイトは8ビットなので、

1,500 × 8
= 12,000ビット

となります。

したがって、

1パケット = 12,000ビット

です。


③ 1パケットに誤りが含まれる確率を求める

ここが今回の問題で最も重要なポイントです。

1ビットの誤り確率は、

p = 10⁻⁶

です。

1パケットには12,000ビットあります。

試験問題では、BERが非常に小さい場合、

パケット誤り率
≒ ビット数 × BER

と近似できます。

したがって、

12,000 × 10⁻⁶
= 0.012

となります。

つまり、1パケットに誤りが含まれる確率は、

約1.2%

です。


厳密に計算するとどうなる?

ここまでの

12,000 × 10⁻⁶

はあくまで近似計算です。

厳密には、

「12,000ビットすべてが正常である確率」

を先に求めます。

1ビットが正常である確率は、

1 - 10⁻⁶

です。

12,000ビットすべてが正常である確率は、

(1 - 10⁻⁶)¹²⁰⁰⁰

となります。

したがって、1ビット以上の誤りが含まれる確率は、

1 - (1 - 10⁻⁶)¹²⁰⁰⁰

です。

計算すると、

約0.01193

となります。

つまり、

約1.193%

です。

近似計算では1.2%だったので、ほとんど差がありません。

計算方法パケット誤り率
近似計算0.012 = 1.2%
厳密計算約0.01193 = 約1.193%

この問題のようにBERが非常に小さい場合は、

パケット誤り率 ≒ ビット数 × BER

という近似で十分に選択肢を判断できます。


④ 誤りが含まれるパケット数の期待値を求める

送信するパケット数は、

10,000個

です。

近似したパケット誤り率は、

0.012

なので、

10,000 × 0.012
= 120

となります。

したがって、誤りが含まれるパケット数の期待値は、

約120個

です。

よって正解は、

エ:120

となります。


厳密計算でも答えは120になるのか

念のため、厳密な確率でも計算してみます。

パケット誤り率は、

約0.01193

でした。

したがって、

10,000 × 0.01193
≒ 119.3

です。

厳密には期待値は約119.3個ですが、選択肢では最も近い

120

を選びます。

つまり、

近似計算 → 120
厳密計算 → 約119.3

となり、どちらでも答えはエ:120です。


計算の流れまとめ

項目
ビット誤り率0.0001%
小数表記1×10⁻⁶
パケットサイズ1,500バイト
パケットのビット数12,000ビット
パケット誤り率(近似)0.012
パケット誤り率(厳密)約0.01193
送信パケット数10,000
誤りパケット期待値(近似)120個
誤りパケット期待値(厳密)約119.3個

問題の用語解説

ビット誤り率(BER)

BERは、

Bit Error Rate

の略です。

通信で送信したビットのうち、誤って受信されたビットの割合を表します。

基本的には、

BER
= 誤ったビット数 ÷ 送信した総ビット数

と考えることができます。

例えば、

BERイメージ
10⁻³約1,000ビットに1ビット
10⁻⁶約100万ビットに1ビット
10⁻⁹約10億ビットに1ビット

となります。

BERは小さいほど、通信中に発生するビット誤りが少ないことを意味します。


パケット

パケットとは、ネットワークでデータを送信するときに使われるデータのまとまりです。

例えば大きなデータを送る場合でも、ネットワーク上では一定の単位に分けて送信されます。

イメージすると、

大きなデータ
    ↓
┌──────┐
│パケット1│
├──────┤
│パケット2│
├──────┤
│パケット3│
└──────┘

という形です。

今回の問題では、1パケットの大きさが1,500バイトと指定されています。

なお、1,500バイトという値はEthernetでよく使われるMTUと同じ大きさです。

通常のEthernetでは、IPパケットなどを格納するデータ部分の最大長として1,500オクテットが使われます。

ただし、

Ethernetフレーム全体が1,500バイトという意味ではありません。

Ethernetフレームには、このほかにもMACヘッダやFCSなどが付加されます。


MTU

MTUとは、

Maximum Transmission Unit

の略です。

1回の通信で送ることができるデータの最大サイズを表します。

一般的なEthernetでは、

MTU = 1,500バイト

が広く使われています。

そのため、ネットワークの問題では1,500バイトという数字を目にすることがよくあります。

ただし、通信方式やネットワーク構成によってMTUは異なります。


パケット誤り率(PER)

PERは、

Packet Error Rate

の略で、送信したパケットのうち、誤りを含むパケットの割合を表します。

今回の問題では、

BER
↓
PERを求める
↓
誤りパケット数を求める

という流れになっています。

BERが十分小さい場合、

PER ≒ パケットのビット数 × BER

という近似が使えます。


期待値

期待値とは、ある試行を何度も繰り返したときに、平均的にどのくらい発生すると考えられるかを表す値です。

基本式は、

期待値
= 試行回数 × 発生確率

です。

例えば、1%の確率で発生する事象を10,000回試行すると、

10,000 × 0.01
= 100

なので、期待値は100回です。

今回も同じ考え方で、

10,000 × 0.012
= 120

と計算しています。

ここで注意したいのは、

必ず120個のパケットに誤りが発生するわけではない

ということです。

実際には110個かもしれませんし、130個かもしれません。

120個というのは、あくまで確率的な平均である期待値です。


近似式はなぜ使えるのか

今回、

1 - (1 - p)ⁿ

という厳密式を、

np

で近似しました。

つまり、

1 - (1 - BER)^(ビット数)
≒ ビット数 × BER

ということです。

これは、

BERが十分に小さく、ビット数×BERもそれほど大きくない場合

に両者の値が近くなるためです。

今回の場合、

12,000 × 10⁻⁶
= 0.012

なので十分小さな値です。

実際、

近似値:0.012
厳密値:約0.01193

と、かなり近い結果になっています。

試験では、

BERが小さい
↓
ビット数 × BER

という考え方を覚えておくと計算を大幅に簡略化できます。


体系的位置づけ

この問題は、応用情報技術者試験では主にネットワーク分野に位置づけられます。

IPAの応用情報技術者試験シラバスでは、ネットワーク分野の「回線に関する計算」や「伝送制御」に関連する用語として、ビット誤り率が扱われています。

体系的には、次のように整理できます。

テクノロジ系
└ 技術要素
   └ ネットワーク
      ├ ネットワーク方式
      │  └ 回線に関する計算
      │     └ ビット誤り率
      │
      └ データ通信と制御
         └ 伝送制御
            └ ビット誤り率

また、この問題では確率の考え方も使われています。

基礎理論
└ 確率・統計
   └ 確率
   └ 期待値

つまり今回の問題は、

ネットワーク+確率

を組み合わせた問題と考えると理解しやすいです。


今回の問題の重要ポイント

今回の問題では、次の4点を押さえておきましょう。

① %を小数に変換する

今回の場合、

0.0001%
= 0.000001
= 10⁻⁶

です。

「%」をそのまま計算に入れないよう注意しましょう。


② バイトをビットに変換する

通信分野では頻繁に登場します。

1バイト = 8ビット

なので、

1,500バイト
= 12,000ビット

です。


③ BERからパケット誤り率を求める

厳密には、

パケット誤り率
= 1 - (1 - BER)^(パケットのビット数)

です。

ただし、BERが十分小さい場合は、

パケット誤り率
≒ パケットのビット数 × BER

と近似できます。

応用情報技術者試験では、この近似を使えると計算がかなり楽になります。


④ 最後にパケット数を掛ける

パケット誤り率が分かったら、

期待値
= パケット数 × パケット誤り率

です。

今回なら、

10,000 × 0.012
= 120

となります。


まとめ

今回の問題では、ビット誤り率から誤りを含むパケット数の期待値を求めました。

応用情報技術者試験では、

「バイト→ビット」「BER→パケット誤り率」「確率→期待値」

という流れをセットで覚えておくと、このタイプの問題に対応しやすくなります。


参考情報

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