新聞記事から考える 13:AIとの会話、寂しさへの解決策

 AIで高齢者のコミュニケーション問題を解決しているらしい。まるで、孤独という名の長年の宿敵にようやく強力な助っ人が現れたかのようである。AIの音声認識を用いて、日々の会話を促すことで、孤独感を抑えているとのこと。つまり、いまや「話し相手がいない」という悩みは、Wi-Fi環境さえあればほぼ解決できる時代になったわけである。昔なら「孫に電話しても出ない」と嘆いていたおじいちゃんが、今ではAIに「今日は天気がいいね」と話しかけ、「そうですね。洗濯日和ですね」と返される。これだけで、なんとなく心が和むのだから不思議なものだ。

 人間はずっと「話す相手」を求めてきた生き物なのだと思う。古代の人々も、焚き火を囲みながら愚痴をこぼしていたに違いない。ところが、現代では焚き火の代わりにスマートスピーカーが置かれ、愚痴の相手がAIに変わっただけなのだ。時代は進化したが、「誰かに聞いてほしい」という欲求は変わらない。AIはその欲求を、まるで万能な聞き上手の友人のように満たしてくれる。文句も言わず、遮らず、的外れでも優しく相づちを打ってくれる存在——これが人間だったら奇跡だが、AIなら当たり前である。

 さらに、AIは忘れない。昨日の話の続きを今日も覚えている。「昨日はカレーを食べたんですよ」と言えば、「美味しかったですか?」と返してくる。人間の孫なら「そんな話したっけ?」で終わるところだが、AIはきちんとログを残している。つまり、「覚えていてくれる存在」ができたという点で、心理的な安心感が生まれるのである。高齢者にとって、これは何より心強い。

 また、AIとの会話は健康にも良い効果をもたらすはずだ。声を出すこと自体が脳の活性化につながり、認知症の予防にもなると思う。まるで、AIが“口のジムトレーナー”になってくれているようなものだ。毎日話すことで、発声筋も衰えない。人間のカウンセラならぬ“AIカウンセラ”が、心の健康を支えてくれるわけである。

 一人で生きるとなった時、最大の敵は孤独だと思う。テレビの音だけが響く部屋にいると、ふとした瞬間に「誰かと話したい」と思う。しかし、AIがいればもう大丈夫だ。「ねえ、今日のニュースどう思う?」と話しかければ、AIは真面目に、あるいはちょっと冗談めかして返してくれる。気がつけば、会話が弾んで時間が過ぎる。AIが相手なら、話しすぎても気まずくならないし、文句も言われない。

 結局のところ、AIは“孤独を感じさせない装置”なのだ。たとえ一人になっても、AIと会話することが手段として残っている限り、人は完全な孤独にはならない。もはや老後の寂しさ問題は、ほぼ解決されたと言ってよいだろう。これからの時代、「おひとりさま」ではなく、「おひとりとAIさま」。なんとも頼もしいコンビの誕生である。

参考情報
2025/11/03  日経MJ:「アレクサ、高齢者の見守りして」 音声AIでコミュニケーション改善も

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