SHUGIというAI/XR技能伝承システムが注目を集めているらしい。
このシステムはAIとXRの力を組み合わせ、熟練者の技能を仮想的に再現するというもの。要するに、「名人の手元を見て学べ」を、文字通り体験できる時代が来たのだ。これを応用すれば、たとえば、寿司職人がシャリを握る手つき、左官職人が鏝(こて)をすべらせる角度とか、口で説明しても伝わらない微妙なニュアンスを、AIとXRがビジュアルと動きで再現してくれるかもしれない。
ちなみにXRとは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などをひとまとめにした表現である。最近は(というか昔から)アルファベットの略語が多すぎて、もはやIT業界はスープのように混ざり合っている。だがこのXR、どうやら単なるゲーム用のゴーグルにとどまらず、「技術伝承の救世主」になりつつあるらしい。
実際に画像を見たところ、作業者はARゴーグルを装着しており、熟練者の手の動きがホログラムのように目の前に現れる。まるで幽霊師匠が背後から手を添えてくれるかのような光景である。「そこだ、もう少し左だ」と聞こえてきそうだ。これなら、「見て覚えろ」という曖昧な指導から卒業できる。AIの師匠は24時間いつでも待っている。残業代もいらない。
しかし、一つ気になるのは「力加減」である。握力3割と5割の違いをどう再現するのか。仮にそれができたら、もはや悟空の重力修行にも匹敵する。ARゴーグルが「いまのは力が入りすぎです」と注意してきたら、もはや立派な“AI先輩”である。
思えば、技能伝承というのは日本社会において長年の課題であった。職人が「俺の背中を見て覚えろ」と言っていたが、背中を見ていた若者も少なくなった。いまや背中よりもスマホを見ている。そんな時代に、SHUGIのようなシステムは救世主のような存在である。
熟練者の「感覚」をデータ化し、若手が「実際に体験」しながら学ぶ。まるで“伝統芸能のデジタル化”だ。刀鍛冶も、パン職人も、溶接工も、AIが見守る中で修行する。そう考えると、なんだか少しシュールで面白い。
いずれ、家庭版SHUGIが登場する日も来るかもしれない。料理初心者が母親の包丁さばきをARで再現して学ぶとか、ゴルフの素振りをプロ選手のデータで練習するとか。あるいは「上司への意見提言方法」なんていう社会人向けの技能伝承システムも出てくるかもしれない。
ともあれ、経験者の知識をうまく伝える仕組みというのは、本当に大事である。SHUGIは単なるテクノロジーではなく、「人の技と心を未来へ運ぶ装置」なのかもしれない。
参考情報
PR TIMES:AI/XR技能伝承システム「SHUGI(手技)」が『XR Awards 2025』のファイナリストに2年連続で選出〜世界的XR連合組織「UnitedXR」主催の国際アワードに再びノミネート〜
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000148999.html

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